液晶パネル大手、友達光電(AUO)の有機EL(OLED)技術が、中国のTCL集団と傘下のパネルメーカー、深
セン市華星光電技術(CSOT)に高給で引き抜かれた元研究開発(R&D)部門の上級幹部2人によって、流出した疑いが明らかになった。2人はこのほど逮捕されたが、容疑は懲役1年以下の営業秘密漏洩(ろうえい)違反で、出境制限を解かれて中国に戻った。こうしたケースによって、台湾先端産業の競争力低下と、中国に技術面で追いつかれることが懸念される。16日付工商時報などが報じた。



 AUOは15日、同社の元幹部が営業秘密を盗用、外部に漏洩し、離職後にアクティブマトリックス型有機EL(AMOLED)などパネル関連の先進技術を競合に提供し、高額の報酬を得たと指摘した。この行為は研究開発の成果を奪い、公平な競争環境に深刻な影響を与えるもので、法務部調査局に通報、新竹地方法院検察署に告訴したと説明した。
元同社幹部、連水池容疑者は昨年7月にAUOを離職して4日目に中国に渡りTCL集団の工業研究院副院長に、王宜凡容疑者は華星光電のAMOLED開発部部長に100万米ドルの高給で招かれたとされる。
自由時報によると、今年年初に2人がAUO従業員にかけた電話に同社が不信感を感じて調べたところ、連容疑者は在職時に重要データをUSBに保存し、そのダウンロード記録を抹消していたことが分かった。その上、華星光電の陳立宜執行副総経理から受信したメールの記録が残っており、そこには「3年で給与250万米ドル、契約金は70万米ドル、目標達成で報奨金60万米ドル、住宅や車両の手当」などと記されていた。USB利用権限がない役職だった王容疑者は、昨年5~9月に関連データを私用のメールアドレス宛に10通以上送信していた。AUOは今年4月に調査局に通報した。
中秋節(今年は9月30日)を台湾で過ごすため連容疑者は同月21日に、王容疑者は26日に帰台した際、家宅捜索を受け、出頭しての説明を求められた。2人はデータを中国に持参したことを認めたが、違法行為だと知らなかったと話し、捜査にも協力的だったようだ。
新竹地検署は、連、王容疑者の罪はAUOが提出した証拠が不十分で営業秘密漏洩違反にすぎないため、このほど出境制限を解いたと説明した。2人はそれぞれ今月3日と7日に出境したとみられる。
AMOLED技術はまるで紙のようにパネルを軽量薄型化し、AUOの特許9,800項目以上の中で最も機密性が高い。現在サムスン電子のみが自社の携帯電話用に同技術を利用した小型パネルを大量生産しており、AUOは第3四半期の量産で続く予定だった。
調査局管轄の台北市調査処は、パネル技術は行政院国家科学委員会(国科会)が「敏感技術」に認定し、経済部が中国での投資、技術提携を禁じているため、今回のパネル技術流出は営業秘密漏洩の「利用電脳設備漏洩工商秘密罪」だけでなく、「両岸人民関係条例」にも抵触すると指摘した。両岸人民関係条例では、台湾地区の人民が大陸(中国)地区の法人、団体、その他機構の職務に就いたり構成員となって、国家の安全や利益を侵害する行為に従事してはならないと規定されている。