2期連続で巨額赤字見通しとなったシャープは、主力の液晶テレビに代わり、タブレット端末などに使われる高精細で省エネの独自液晶技術「IGZO(イグゾー)」を活用した中小型液晶パネルに期待する。
 ただ、直ちに収益改善に結びつくかは不透明だ。世界的な景気減速や中国の日本製品離れなど、取り巻く環境も厳しさを増す。頼みの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の出資協議はいまだ出口が見えず、再建には依然高い壁が立ちはだかっている。




「最重要課題は中小型液晶だ」。東京都内で1日、記者会見した奥田隆司社長は中小型液晶を業績回復の柱に位置づける考えを示し、「販売先を開拓し工場稼働率を上げることが重要」と力説した。

 鍵となるのは、シャープが世界で唯一量産に成功した虎の子技術「IGZO」だ。奥田社長は「低消費電力は利用者に非常に大きなメリットがある」と優位性を強調。販売先として、米デルやヒューレット・パッカード(HP)など大手パソコンメーカーとの長期供給契約を目指す。

 だが「実際に搭載商品が発売されるのは早くて来夏モデル」(大手証券アナリスト)との指摘もあり、13年3月期の業績に寄与できるかは不透明だ。また、韓国のLG電子などもIGZOの量産を急いでおり、開発で先行しながら汎用(はんよう)品化で価格が下がり、経営の重荷となった液晶テレビの二の舞いになる懸念もぬぐえない。奥田社長は「技術は次々と進化する。常に新しい技術の開発に努力する」と述べ、IGZOだけに頼らない姿勢を強調した。

 一方、中小型液晶以外の事業は依然厳しいままだ。12年度上期の売上高は、液晶テレビが国内や中国の販売減で前年同期比40.3%減。携帯電話や太陽電池も前年を下回り苦戦が続く。奥田社長は「液晶や太陽電池は大型投資を進めてきたが、市場環境が大きく変わった。もっと早く手を打てば状況が変わっていたかもしれない」と需要見通しの甘さと対応の遅れを認めた。

 液晶テレビは、成長市場である新興国での拡販を加速するが、中国での日本製品の不買運動などのリスクも追い打ちをかける。太陽電池は国内市場に注力し、海外市場は絞り込んで黒字化を急ぐ。