iPadが市場の半数を占有してきたタブレット市場において、iPadに挑む新しいタブレット端末の投入が相次いでいる。これまでのタブレット市場では、圧倒的な規模を誇るiPadに対し他の端末は劣勢に立たされていた。しかし2012年下半期を迎えて、GoogleのNexusシリーズやAmazon Kindle Fire HD、MS Surfaceなど戦略製品の投入が続いている。
相次ぐ戦略製品の投入により、タブレット市場は価格セグメントやアプリケーションが多様化してきた。
Nexus7やKindle Fire HDの7”モデルは199ドルからのスタートとなっており、従来のiPadが形成していた500ドル前後の価格帯とは異なるユーザー層を開拓している。やや割高ではあるが、Appleはこれらの商品群に対応して、iPad miniを329ドルで投入した。また、iPad2を文教用途(学校教育用)に積極展開するなど、アプリケーションの拡大を図っている。



Microsoftが満を持して投入するSurfaceは、RTモデルが32GBでタッチカバー付で599ドルと他の端末に比べてやや割高である。Officeユーザ向けに訴求するProモデルは800ドル前後になる可能性が高いことから、Ultrabookなども競合対象とした市場開拓となる見通しである。
注目は最新のタブレット端末に採用される液晶パネルやタッチパネルであり、7”1280×800(216ppi)パネルを採用するNexus7やKindle Fire HDの7”モデルは、7.9”XGA(162ppi)を採用するiPad miniを精細度で上回っている。Retinaディスプレイに慣れたAppleユーザには、iPad miniのスクリーンはやや物足りなく感じる可能性がある。ただし、来年はAppleのiPadが更なる高精細化を進めて300ppiクラスに突入すると噂されており、タブレットの高精細化競争は過熱すると予測される。
また、タッチパネルに関してもiPad miniがDITOタイプのフィルムセンサを採用して端末の薄型軽量化に成功した。来年はiPad全体でフィルムセンサの採用が進む可能性がある。MS Surfaceはカバーレンズとフィルムセンサのハイブリットタイプのカバー一体型を採用するなどタッチパネルの多様化が進んでいる。
さらに一部のパネルメーカーはタブレット端末向けにLTPSやOxide TFTを開発、さらなる高精細化、タッチパネルや周辺ICの内蔵に備えようとしている。