液晶は本当のところ表示デバイスとしては劣等生です。
自ら発光(自発光しない)しない、もともとの液晶材料そのものが液体でもなく結晶でもない曖昧な状態とも言え挙動不審、その液晶の制御に使っているアモルファスのトランジスターも本来の半導体から見るとなんとも頼りない中途半端な性能ですし、布でこすって毛羽立てるという非工業的な製造工程があったり....材料・構造そして製造方法と全てに渡り工業製品としては決して優等生とは言えない存在です。

そんななんとも頼りない液晶が、なぜ世の中の表示ディスプレイの大半のシェアを取ってしまったのでしょう?



現代人にとっては、朝に目を覚ました瞬間から目覚まし時計をながめ、液晶テレビでニュースを見て、会社に行ってパソコンに向かって仕事をし帰宅して寝るまで、表示ディスプレイを見つめる生活が続きます。
その見つめる先はほとんどが液晶でしょう。

あまりにも当たり前のように液晶が氾濫していて、ありがたみも薄れてしまっていますが、それほど数多に広範に普及し応用された技術も珍しいと思います。液晶に片足を突っ込んできた管理人にとっても今の興隆は予想を上回る驚きです。この「劣等生"液晶"の歩んできた道」シリーズでは、管理人の偏った経験からではありますが、「液晶」の弱みを克服してきた歩みの一端に触れていってみたいと思います。