米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道を基に16日付経済日報などが報じたところによると、スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)は、中国の大手通信キャリアとの提携が奏功し、第3四半期に中国スマートフォン市場で280万台を販売、前期比倍増を達成した。成長著しい中国は、来年にも欧米に代わり同社にとって最も売上高の大きい市場になる可能性があり、業績回復の鍵を握りそうだ。
HTCは、2010年に中国市場に進出。提携先である多普達通訊(ドゥーポッド)を通じて販売を行っていたが、伸び悩んでいたため、11年に大手通信キャリアの中国移動通信(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム)と提携。今年第3四半期は市場シェアを5.8%と、前期から一挙に2倍以上に拡大させた。



 中国市場でのシェア首位はサムスン電子(14%)で、2~5位までは地場ブランドの▽聯想集団(レノボ)▽酷派(クールパッド)の宇龍計算機通信科技(深?)▽中興通訊(ZTE)▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)──がいずれもシェア10%以上でしのぎを削っている。全体の6割を地場ブランドが占め、価格競争も激しく、世界的に人気を誇るアップルでさえシェア8%で6位に甘んじており、HTCとともに上位ブランドに大きく引き離されている。しかし同市場の第3四半期販売台数は、前年同期比2.2倍、前期比で約3割増の約5,000万台と成長が著しく、HTCとしては今後最も力を入れたい市場だ。米証券大手、ゴールドマン・サックス証券は、HTCの中国市場での下半期売上高は16億米ドルで、レノボやクールパッドなどを上回ると予測している。
 中国市場が好調なことに加え、欧米市場でも回復の兆しがみえてきたとモルガン・スタンレーの呂智穎主席アナリストは指摘する。米国市場では、通信キャリアAT&Tから旗艦機種「One X」のアップグレード版「One X+」およびミドルエンド機種「One VX」を16日に、ベライゾン・ワイヤレスから「DROID DNA」を21日に発売することに加え、アップルとの訴訟問題が解決して今後新製品の設計に専念できることから、シェア奪回が可能との見方だ。
 一方、欧州市場は依然として需要が振るわないものの、HTCはニッチ製品に注力すればノキアやリサーチ・イン・モーション(RIM)が流出させているシェアを獲得できるとの分析を示した。