町田と片山が郭と会談した8月3日、代表権を持つ社長の奥田隆司(59)と財務担当専務の大西徹夫(58)は金融機関をまわっていた。前日の唐突な業績下方修正の説明に追われていた。 この事件をきっかけに奥田は液晶技術のエキスパートである片山に液晶事業に関わる外部との戦略的交渉を委任した。

 これで社内のパワーバランスが変わった。鴻海との交渉窓口だった町田は週に2日程度しか出社しなくなった。「ワシはもう一線を引いた身やから」。鴻海との交渉は凍結状態となる。 一方、奥田から委任を取り付けた片山は猛然と走り始める。行き先は米国だ。

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