22日付自由時報によると、台湾最大の産業技術研究開発(R&D)機関、工業技術研究院(工研院、ITRI)や液晶パネル業界から重要人材70人以上が引き抜かれ、中国・上海和輝光電でアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)開発に携わるという観測が出ている。先月中旬、友達光電(AUO)の幹部2人が中国メーカーに引き抜かれ、AMOLED技術が流出した疑惑が明るみに出たところだ。杜紫軍経済部次長は21日、キーパーソンの奪い合いをしなければ、両岸(中台)は長期的な発展が見込めると訴えた。



観測によると、人材引き抜きを実際に行っているのは台湾の光電メーカーの元総経理で、7月以降、工研院の影像顕示科技中心(ディスプレイ・テクノロジー・センター)やAUO、奇美電子(チーメイ・イノルックス)に統合された旧・群創光電(イノルックス・ディスプレイ)でAMOLED開発を担当していた人物を中心に接触している。声を掛けられたあるパネルメーカーの主管によると、皆続々と話に乗っており、来年初めに現地入りする計画になっている。
 上海和輝光電は11月初旬に上海金山工業区で、第4.5世代AMOLEDパネル生産ラインの起工式を行ったところだ。4.5、4.7、5.6インチパネルやモジュールを中心に生産し、AMOLEDパネルは年産1,059万2,000枚で2年後に量産する予定だ。
 杜経済部次長は21日、両岸産業提携フォーラムであいさつした際に、中台間で今後双方にメリットをもたらす人材交流を推進したいと強調した。中国のパネルメーカーが次々と台湾の人材を奪い、営業秘密を盗んでいるとの声に対し杜次長は、非常に重く受け止めており、中国政府に悪意ある人材引き抜きの防止策を求めたと語った。これに対し中国側は、対応策を検討する時間がほしいと回答したという。
 工研院人力資源処の何大安処長は、影像顕示科技中心に460人余りが在籍するが、最近は離職者もなく安定していると語った。昨年初めには発光ダイオード(LED)技術推進を担当していた経理が離職して4.6倍の給与で中国・広州市の企業に移ったが、環境になじめず1年余りで台湾に戻ったとされる。
 野党、民進党寄りの自由時報は、馬英九政権が海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)などで中台産業界の分業を推進した結果、投資障壁が低くなりパネル工場の中国移転が進み、核心となる技術だけでなく人材まで奪われていると指摘。こうした人材は馬政権の下で台湾の将来に期待を持てないからこそ金銭に目がいくと訴えた。