シャープの幹部は22日、同社の収益が安定していないことが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携交渉の障害になっていると述べ、当初の合意内容はもはや実行不可能として、シャープが譲歩する意向を明らかにした。鴻海からの出資の可能性は、シャープとの提携交渉で未解決の争点となっている。シャープは2年間連続で史上最高の赤字となる見通しだ。これらの損失で、シャープのバランスシートが毀損し、同社の信用格付けは「投資適格」から「投機的」とされるジャンク格付け水準に転落している。

 日本のエレクトロニクス業界の苦境を示すもう一つの兆候として、シャープのライバルであるパナソニックとソニーの格付けも投機的水準に引き下げられた。格付け大手のフィッチ・レーティングスは両社の格付けをいずれも投機的水準に引き下げたと発表した。フィッチは既に今月に入って、シャープの格付けを投機格付けにしている。




シャープ幹部は記者団に対し、鴻海との間で今年3月に合意した資本提携内容を改めて主張するのはもはや「不可能」になったと述べた。3月の合意では鴻海がシャープ株式9.9%を1株550円(6.73ドル)、総額669億円(8億1900万ドル)で取得するとされていた。シャープ株価は22日、7円(4.3%)高の171円で終了している。

 同幹部は、シャープは最終合意に達するため、鴻海に10%以上の株式取得を認めるなど譲歩する用意があると述べた。当初の合意の際には、シャープは持ち株比率を10%未満に制限することを望んでいた。出資比率が10%以上の株主は、日本の法律に基づき、会社解散を裁判所に請求するなど追加的な権利が得られる。

 シャープ幹部は「基本的に、これは明確なのかもしれないのだが、当初の条件で合意が最終的にまとまらなければ、われわれは譲歩する」と述べた。シャープは、この幹部の氏名を明かさないよう記者団に求めた。これに対し、鴻海の広報担当者は、両社は互いに連絡を取り合っており、協力していると述べたが、詳細は明かさなかった。

 鴻海は8月、シャープが液晶ディスプレイテレビ受像機やテレビ生産用パネルの需要低迷により予想以上に悪い決算を発表したため、3月合意から後退した。当時、台湾の規制当局も鴻海によるシャープ出資から予想されるリターン(収益)が不十分として、出資に難色を示していた。

 シャープは、交渉の進展を阻んでいる主因は同社の利益に関する予想が難しいことにあると述べた。4月に今年度入りして以降、シャープは来年3月までの通年の決算見通しを2度可能修正した。4月には通年の純損失を300億円と推定していた。8月にはこれを2500億円とし、11月には4500億円に引き上げた。

 シャープ幹部は、このような決算見通しの不安定さによって鴻海は株主にシャープ出資を正当化するのが難しくなっていると述べた。シャープは、今年度下半期の目標実現によって状況の安定化を目指すと述べているが、同幹部は、成功の証拠は、交渉の期限(来年3月末)が過ぎるまで出てこないかもしれないと述べた。

 同幹部は「シャープ出資が正当化されるには、われわれは(収益を)もっと安定させねばならない」と述べ、「われわれが安定すれば、交渉は進展すると思う」と語った。

 鴻海との当初合意の最終期限は来年3月末。シャープはその時までに新条件で合意するか、期限を延長するか、あるいは合意を破棄する必要がある。