鴻海科技集団(フォックスコン)の60インチ液晶テレビは通信キャリアとの契約の縛りで低価格を実現し、発売10日間で2,500台以上を売り上げた。当初想定の2倍、従来の同様のケースの30倍の勢いだ。50インチ以上の大型テレビ用パネル市場シェアは10月に一挙2けたに拡大。日中のテレビブランドが追随する構えで、友達光電(AUO)や奇美電子(チーメイ・イノルックス)などパネルメーカーが恩恵を受けそうだ。23日付工商時報が報じた。
堺ディスプレイプロダクト(SDP、旧シャープディスプレイプロダクト)製の液晶パネルを採用した鴻海製造の60インチテレビを販売する2社のうち、中華電信は毎日120~150台が売れている。同社は、目標の2倍、家電量販店の燦坤3Cとマルチメディア・オンデマンド(MOD)を販売した当時の1カ月分に当たると指摘した。発売1カ月で3,000~4,000台売れるのは確実で、年内に軽く6,000台を超えるとの予測を示した。



 凱擘(kbro)も毎日100台と、予想していた50~60台の2倍近く売れている。自社やカスタマーセンターだけでなく、今後は関係企業、台湾大哥大(タイワン・モバイル)の店舗「Myfone」や傘下、台湾TWMブロードバンドの店舗でも取り扱うため、1日当たり販売台数は150台まで増えると予測した。企業の尾牙(忘年会)での抽選イベントの景品としての調達や、春節(旧正月)のボーナス(年終奨金)や紅包(お年玉)支給で購入が増えるとみて、年内の同社販売予測を1万台へと従来の5,000台から2倍に上方修正した。来年は2万台を狙う。
 中華電信は来年も凱擘には負けないと宣言しており、市場では来年両社合計で4万~5万台が売れると予測されている。
 鴻海製の60インチテレビは中華電信との2年、または凱擘との3年の契約で3万8,800台湾元(約11万円)で購入できる。
 市場調査会社、ウィッツビューによると、50インチ以上のテレビ用パネルの世界出荷シェアは10月に10%を超え、第1~3四半期の各5.3%、7%、9.4%を上回った。同社は、低価格販売戦略によって大型テレビに対する市場の受容性が高まる中、各テレビブランドやパネルメーカーが新製品を競って発売し、来年は50インチ以上のテレビのシェアが7~10%まで拡大すると予測した。
 AUOは10月下旬に発表した、IGZO(酸化物半導体、イグゾー)技術を使った65インチの4K2K(解像度3,840×2,160)パネルがソニーに採用され、来年量産すると観測が出ている。55インチの4K2Kパネルは東芝向けに出荷を開始した。
 奇美電は、50、55、58インチと多様なサイズの4K2Kパネル取りそろえている。海信(ハイセンス)や創維集団(スカイワース)など中国ブランドのほか、東芝が58インチに意欲を示している。台湾メーカーがフルハイビジョン(FHD)パネルとの価格差を2倍以下に抑える中、奇美電は1.3倍に縮小し、競争力を見せつけている。
 韓国のLGディスプレイ(LGD)は先頭を切って84インチの4K2Kパネルを投入し、ソニー向けに年末に量産する見通しだ。サムスン電子は60、75インチの4K2Kパネルを来年量産する計画だ。