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シャープが4日、米クアルコムからの約99億円の出資受け入れを発表したことを受けて、鴻海科技集団(フォックスコン)が求めているシャープへの経営参画が微妙になったとの観測が出ている。シャープは9月以降、アップルをはじめ米大手IT企業との提携交渉が報じられており、今後こうした企業から資金を確保できれば、鴻海による経営関与の回避が可能になる。5日付工商時報は、鴻海は第10世代液晶パネル工場出資で60インチ高画質テレビが好スタートを切っており、シャープの経営に参画する意義はもはや薄れていると報じた。
クアルコムは12月27日までに1株164円で2.64%を出資、来年3月29日までに出資を完了し、出資比率5%でシャープの筆頭株主になる。シャープがIGZO(酸化物半導体、イグゾー)技術を提供し、クアルコム子会社、ピクストロニクスのMEMS(微少電気機械システム、メムス)技術を統合してMEMSディスプレイを共同開発する。
 一方、鴻海のシャープへの出資は、シャープ株価が提携発表当時の1株550円から8月に200円を割り込み、見直し交渉が続いている。9月には、郭台銘鴻海董事長がシャープ経営に参画する強い意欲を公に表明した。これらから、シャープが譲れないのは価格ではなく、自社の主導権であることがうかがえる。



すなわち、シャープがクアルコムとの提携を決めたのは、出資比率が5%で経営権に影響を与えないためとみられる。今後、他の複数の大手IT企業が同様の形で出資を行った場合、シャープにとって鴻海との資本提携の重要度は低くなる。
 鴻海の広報担当は、クアルコムの出資はシャープの決断なので、鴻海はコメントを控えると述べた。鴻海のある幹部は、「われわれが欲しいのはシャープの大型パネル技術だ」と語った。
 バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリストは、鴻海が単なる投資目的ならばシャープはすぐにでも出資を受け入れるはずで、鴻海が経営に参画できる可能性は小さくなってきたと指摘した。
 来年3月26日までの株式譲渡期間中に両社が合意に達しなければ、出資案は立ち消えとなる。その場合でも鴻海には金銭的損失がないため業績には影響が出ない。
 シャープは今年3月、堺工場と呼ぶシャープディスプレイプロダクト(SDP、現・堺ディスプレイプロダクト)に46.5%、およびシャープ本体に9.88%の出資を鴻海側から受け入れると発表した。鴻海のSDP出資は6月末に完了し、同工場生産の60インチパネルを搭載した鴻海の大型テレビは11月発売後売れ行きが好調で、同工場の設備稼働率が大幅に改善したほか、中国大手ブランドなどから大型テレビ受託生産の引き合いがあるとの観測も浮上している。