EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)は25日、中華電信などの通信契約付きで低価格を実現して人気となった同社製60インチ液晶テレビを、米家電販売店チェーン大手、ラジオシャックのブランドを冠して本体のみで発売する。鴻海製テレビは来年55インチ以上の市場で首位を狙う。中国でも海爾集団(ハイアール)、創維集団(スカイワース)に続き、同ブランドからも投入。ラジオシャックとの合弁会社が上海市を皮切りに小型店舗5,000店を設置する計画で、製造から販売までの一貫体制で捲土重来を図る。25日付蘋果日報などが報じた。



鴻海集団が出資する堺ディスプレイプロダクト(SDP、旧シャープディスプレイプロダクト)製の60インチ液晶パネルを採用した大型テレビは今回、通信契約の縛りなしで、ラジオシャック(中国語名・睿?)ブランドで5万8,800台湾元(約17万円)で販売する。25日午前11時から72時間、台湾最大のポータルサイト、ヤフー!奇摩で企業から数量限定で購入予約を受け付ける。続いて27日、鴻海集団の3C(コンピューター、通信、家電)製品販売店、賽博数碼広場(サイバーマート)の台湾サイトで発売する。28日から来年1月1日までの5日間は、サイバーマートが企業対象500台限定で、ブルーレイディスク(BD)プレイヤー(3,990元相当)と8,800元の割引券を贈呈する年越しセールを実施する。
 業界関係者は、企業を対象としたのは尾牙(忘年会)の抽選イベント商品の調達商機を狙ったものと指摘。これにより、同社製超大型テレビの注目度が高まるのは確実だ。また、既に通信契約とセットの3万8,800元で約7,000台売れていることから、年内に出荷台数1万台が狙えると予測した。
 サイバーマートの張瑞麟董事長は、中国販売で提携するラジオシャックは90年以上の歴史がある企業で、米国で6,000~7,000店を展開していると強みを説明した。郭台銘・鴻海董事長は、販売まで手掛ける一貫サービス構築は必須だが、展開スピードは求めず、品質を重視するという考えだ。こうしたところに、地域密着型を売り物にするラジオシャックを提携パートナーに選んだ理由がありそうだ。
サイバーマートは、面積100平方メートル以上の旗艦店だけでなく、50~100平方メートルの小型店も出店する両輪体制にかじを切り直す。張董事長は、現在の100店足らずから来年末までに1,000店まで店舗が増えると予測した。
 店舗網の急拡大が見込める背景には、中国の保利協?能源控股(GCL)との提携発表もある。GCLは200店は可能と太鼓判を押しており、同社が店舗建設、サイバーマートが出店を担当する方式を取るようだ。大型の開発会社もサイバーマートとの提携に意欲を示している。
 鴻海集団はサイバーマートのほか、中国で独メトログループと合弁の大型家電量販店「万得城電器(メディアマルクト)」、販売サイト「飛虎楽購」、退職した社員が地方で運営する小型店「万馬奔騰電器超市」を展開してきたが、いずれも不調が報じられている。