本ハイ テレビ
 4日付蘋果日報がサプライチェーンの話を基に報じたところによると、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)が、中国で超大型液晶テレビ組み立てラインを10本増設する。第2四半期には完成、稼働する見通しで、今年下半期の中国での超大型液晶テレビの出荷台数は180万~200万台に上ると証券会社は予測している。
 同社は1月下旬、提携先である米ラジオシャック(中国語名・睿侠)のブランドで中国市場でも60インチの超大型液晶テレビを投入。2,000台が既に売り切れており、生産台数を一気に伸ばして市場シェアを拡大したい考えだ。



同計画は郭台銘・鴻海総裁が戴正呉副総裁を責任者に任命。進ちょく状況を直接報告させているという。
 現在鴻海の超大型液晶テレビ組み立てラインは台湾の土城工場(新北市)の1本のみで、1日当たりの生産能力は300~350台にすぎない。証券会社は、中国での生産ライン1本当たりの生産能力は1日1,000台以上になると予測。鴻海は一気に1日1万台の生産能力を手に入れると指摘した。投資額は1本当たり1億台湾元、総額10億元(約31億円)の推測だ。
 なお、鴻海広報担当は「各生産ラインの計画は、顧客の需要や受注状況で調整している」と説明した。
IC設計、微駆科技(エクスプロア・マイクロエレクトロニクス)の呉金栄総経理は、鴻海による中国での超大型液晶テレビライン設置について、顧客に近い場所での生産が目的と説明した。また、超大型液晶テレビは体積が大きい上、堺ディスプレイプロダクト(SDP、旧シャープディスプレイプロダクト)製の液晶パネルを利用するため輸送コストが大きな問題となっており、まず生産拠点を集中させると指摘。将来的には顧客への輸送時間を考慮し、華北、華中、華南と生産拠点を分散していくとの見方を示した。
 市場調査会社、拓ボク産業研究所(ボクはつちへんに僕のつくり、TRI)の楊勝帆所長は、60インチテレビの大幅な成長には、価格と中国市場の需要の2点が観察指標となるとの見方だ。超大型液晶テレビはまだ十分な経済規模に達してはいないが、出荷拡大を通じてコスト低減を図れると指摘。販売価格を699米ドルまで引き下げられれば、爆発的な成長が可能で、鴻海の60インチテレビは今年、出荷台数が150万台に上るとの予測を示した。
 鴻海の中国子会社、富士康国際(FIH)は1日、ラジオシャック傘下で、中小型販売店を展開するRSHと合弁会社を設立すると発表した。鴻海傘下の3C(コンピューター、通信、家電)製品販売店、賽博数碼広場(サイバーマート)は大型店のためRSHとは客層が異なり、鴻海は大中華圏市場で販路をさらに拡大するとみられる。