中小型パネル最大手のジャパンディスプレイ(東京・港)は車載向け液晶パネルの生産を拡大する。2015年度にも、千葉県の主力工場などでくっきりした画像表示が可能な新パネルの生産を始める。需要の変動が激しいスマートフォン(スマホ)向け以外を強化、収益基盤を安定させる。16年度には車載パネルの売上高を12年度見込み比で約7割増の1000億円に引き上げる計画だ。

 茂原工場(千葉県茂原市)、石川工場(石川県川北町)、鳥取工場(鳥取市)の国内3工場の生産設備を数十億円を投じて順次改良する。いずれもデジタルカメラなどスマホ向け以外の製品に適したパネルの生産ラインを持つ。このうち車載向け比率は現在4割程度だが、15年度には6割以上に引き上げる。3工場合計の生産能力は「4.5世代」と呼ばれるガラス基板換算で年間100万枚になるとみられる。



 新開発のパネルは黒と白のコントラスト比を大幅に上昇させたほか、斜めから見ても画像がゆがみにくい。速度メーターやカーナビゲーションシステムなどに適しているという。

 同社はスマホ向け中小型パネルで約2割のシェアを握り、車載用パネルでも3割超と世界首位。ただ、主力のスマホ向けパネルは需要の変動が大きい。米アップルが昨秋販売したスマホ、「iPhone(アイフォーン)5」にはジャパンディスプレイ、シャープなどがパネルを供給しているが、アップルは同機種の販売不振を受け、パネルメーカーへの発注量を減らしている。

 一方、車載向けはデジタル製品に比べると、需要が安定している。ジャパンディスプレイは車載向けを強化することで、スマホ向けの受注が急減しても収益を確保できる事業構造を目指す。