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 鴻海科技集団(フォックスコン)は1日、中国で展開する独メトロと合弁の家電量販店、万得城電器(メディア・マルクト)全7店の営業を終了すると認めた。11日に6店を閉め、残る1店を4月末に閉店する。鴻海は近年、EMS(電子機器の受託製造サービス)から小売りまで一貫して手掛けるビジネスモデルの構築を図っていた。万得城閉店を機に、賽博数碼広場(サイバーマート)の台湾での出店計画も見直し、インターネット販売中心にかじを切り直す。4日付経済日報などが報じた。
万得城はメトロが75%、鴻海が25%出資し、2010年上海市に旗艦店をオープンした。両社は15年には100店に店舗網を拡大すると豪語していた。しかし順調に進まず、外電の報道によると昨年の損失が4億人民元(約60億円)に上ったため、営業終了の決断を強いられた。
 鴻海は、万得城の中国市場撤退は両社の大株主が協議した結果だと説明。株主、消費者、サプライヤー、従業員750人などステークホルダー(利害関係者)の権益保護に全力を尽くすと表明した。



 サイバーマートは台湾で昨年末時点で13~15店まで拡大する予定だったが、現時点で6店にすぎない。出店計画を減速するとの見方に対し鴻海は、台湾の実体店舗は全面的に見直し、ネット販売に重心を置くと説明した。ただ、拡大は進めないが、台湾市場を諦めることはないと強調した。サイバーマートは中国では34店を擁する。
 鴻海はこのほか、▽中国で量販店、大潤発(RTマート)内に大型売り場「敢創商貿」を出店▽従業員が故郷に戻って小型店を出店するのを支援する「万馬奔騰」計画▽ネット販売サイト「飛虎楽購」──などを手掛けているが、成果が出ているとの話は聞こえてこない。なお、今年末には「台北の秋葉原」と呼ばれるIT(情報技術)製品販売ビル「台北資訊園区」をオープンする予定もある。
 鴻海は昨年末、中華電信などの通信契約付きで低価格を実現した60インチ液晶テレビで大型テレビ需要を掘り起こしたが、同様の手法で近く40インチ液晶テレビを0元で投入するという観測が浮上している。
 ただ、鴻海の広報担当は、こうした計画はないと否定した。
 観測浮上の背景には、鴻海はシャープと合弁の第10世代液晶パネル工場(堺ディスプレイプロダクト=SDP、旧シャープディスプレイプロダクト)の生産能力の半分(ガラス基板投入枚数で年間42万~45万枚相当)を受け持っており、60インチ液晶テレビだけで消化するには年間300万台以上売らなければならないという事情がある。そこで60インチのほか、70インチ、80インチ液晶テレビ用パネルの生産も計画しており、80インチと40インチを同時に切り出すことで経済効率を高める考えとみられている。