米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は次世代の成長のけん引役として、テレビに重点的に取り組む考えをほのめかしているが、開発中の腕時計型製品の方が収益性が高くなる可能性がある。
シティグループのアナリスト、オリバー・チェン氏によると、世界の時計産業の今年の売上高は600億ドル(約5兆6100億円)強に上る見通し。TVメーカーの総売上高を下回るものの、時計の粗利益率は約60%。
ブルームバーグ・インダストリーズのアナリスト、アナンド・スリニバサン氏によれば、時計の粗利益率はテレビの約4倍だ。
象徴的なブランドと収益性の高い小売りネットワークを持つアップルは、成長する時計産業に参入する公算が大きい。参入すれば、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」やメディアプレーヤー「iPod(アイポッド)」など他の分野の成長鈍化 を補完できそうだ。サムスン電子との競争激化の兆しや新製品投入ペースをめぐる懸念を背景に、アップル株は昨年9月に付けた最高値から3割強値下がりしている。



高級品小売業者を担当するチェン氏は、「アップルにとって60億ドルの商機になり得る。アイポッドを投入したときのように、顧客が必要かどうかさえ分からない全く新しい製品を作り出せればさらに大きな機会となろう」と述べた。
市場調査会社IHSエレクトロニクス・アンド・メディアによると、TV業界の今年の売上高は1190億ドルとなる見通し。チェン氏の利益率予想を基にアップルが各市場で10%のシェアを得るとした場合、時計で36億ドル、TVで17億9000万ドルの粗利益を得られる計算だ。
アップルの計画に詳しい複数の関係者の先月の話によれば、同社では約100人のデザイナーが腕時計型製品の開発に取り組んでおり、アイフォーンやアイポッドの機能の一部を新製品に搭載する可能性がある。関係者の1人が匿名を条件に語ったところによると、電話、地図、歩数計、心拍などの健康データモニター機能などが検討されているという。関係者によれば、早ければ年内に発売することをアップルは目指している。