パソコン大手、宏碁(エイサー)のオリバー・アーレンス泛欧州営運総部総経理は、第2~3四半期にタッチパネル機能に対応したノートPCを399~499ユーロ(約4万8,000~6万1,000円)で発売するとの見通しを明らかにした。低価格機の投入により、マイクロソフト(MS)のウィンドウズ8(Windows8)搭載ノートPCの普及に弾みが付くことが期待できる。5日付工商時報が報じた。



同社は、ライバルの華碩電脳(ASUS)が、昨年10月に発売したウィンドウズ8、タッチパネル搭載ノートPC「VivoBook」(販売価格499米ドル)が好調な売れ行きを見せていることから、対抗製品として発売する。タッチパネル搭載機種の市場は徐々に広がってきており、今後は主力の15.6インチだけでなく、11.6~15.6インチのさまざまな製品を投入する予定だ。

 アーレンス総経理は、タッチパネル機能搭載機種の価格は現在599ユーロが主流だが、それを下回る価格で販売すると説明。市場ごとに異なる価格を設定する方針だ。

 サプライチェーンの観測によると、同機種の生産は 緯創資通(ウィストロン)が手掛ける。

 市場調査会社、GfKによると2012年第4四半期の欧州ノートPC市場は前期比14~15%縮小し、13年1月も引き続きマイナスとなった。アーレンス総経理は「現在ノートPC市場は難しい局面にある」と指摘。入門モデル市場がタブレットPCに侵食されていることに加え、ウィンドウズ8のスターター版が発売されなかったこともあり、ブランドメーカーは低価格ノートPC(ネットブック)の販売ができず、タブレットPCの勢いを止められないでいると説明した。

 一方タブレットPCでは、OSにグーグルの「アンドロイド」を採用し、199~299ユーロの価格帯を狙う。欧州市場では7インチの低価格タブレットPC「Iconia(アイコニア)B1」の販売が好調で、タブレットPC出荷台数が第1四半期だけで既に昨年通年に並び、今年通年の目標出荷台数は前年比6倍と強気の設定を行っている。アーレンス総経理は、欧州でPCブランドとして最多の3万カ所の販売拠点を擁している強みを生かし、目標は達成できると自信を見せた。なお、エイサーは、世界全体でのタブレットPC出荷台数目標を500万台以上と発表しているが、社内では1,000万台を掲げているとの観測もある。