妥協の無い画質という本質的な野望として、液晶ディスプレイに関わっていた技術者の多くが考えていたのが、画素の制御に半導体を使うというものでした。
液晶ディスプレイにおいて、いわば液晶は光を遮るか通過させるかの制御をするシャッターの役割を担っているにすぎません。光源はその背後に配置されています。(バックライト)
当時の液晶のシャッター性能は、完璧とは程遠いものでした。
全く光を遮るべき"オフ"という信号を与えたとしても、"オフ"の状態を保ち続けているわけではありませんでした。



上のガラスに横のストライプ配線、下のガラスに縦のストライプ配線、その交差した特定番地の液晶(画素)のオンオフ状態を各ストライプ配線に接続されたドライバICから順次走査して行うという単純な構造のために、例えばオフと制御された特定番地(=画素)とそれ以外の番地が、完全独立しておらず、次の番地を制御する信号の影響を受けてしまうからです。

なんとなく"平均的にオフ"という状態程度のため、その特定画素の液晶もオフとして求められる完全な黒や、オン状態の完全な白の状態を保持出来てはいなかったのです。

他の番地の制御の影響を可能な限り受けなくするため、番地切り離しの役割をトランジスターに期待したわけです。