シャープは26日、鴻海科技集団(フォックスコン)から払込期限までに出資がなかったと発表した。鴻海は同日夜、有効期間は2015年まで残されており、協議を重ねて3カ月以内に出資を完了させたいと破局説を否定した。
一方証券会社のアナリストは、シャープが求めるのは出資のみで、経営参画を望む鴻海との溝が埋まらないまま、資本提携は実現しないとの見方が少なくない。27日付蘋果日報などが報じた。

鴻海は、昨年3月の合意以降シャープと出資に関する協議を重ねており、今年3月24日のトップ会談で今後も提携を続ける方向で合意したと説明。早ければ3カ月以内に結果を出したいと表明した。3年の払込期限については、両社が当初設定したものだと指摘。取締役会の運営に関し、銀行が派遣する役員とともに奥田隆司社長率いる経営陣をサポートしたいと表明した。
 一方シャープは、出資見送りに伴い投資規模や時期の一部見直しを行い、他の資金調達を視野に入れると表明した。同時に、鴻海との業務提携は堺ディスプレイプロダクト(SDP)の共同運営で操業安定化とコスト競争力強化を実現するなど一定の成果を挙げていると強調した。



バンクオブアメリカ・メリルリンチは、鴻海は出資によって経営参画、特許、管理権を取得しようと考えており、シャープは単なる資金目的のため、平行線は交わらないと指摘した。 華南永昌投資顧問の儲祥生董事長は、鴻海が出資してもシャープから液晶パネルの高い技術を供与されることはあり得ず、SDPへの出資でハイエンド大型パネルの供給を既に確保しているため、破局になっても鴻海に大きな影響はないと分析した。また、ブランドを擁し部品も自社で製造しているサムスン電子と、EMS(電子機器受託製造サービス)の鴻海は立場が異なるため、サムスンによるシャープ3%出資は障壁ではないと指摘した。
 バークレイズ・キャピタルは、鴻海が当初目的としていたシャープからの受注確保は達成できたのだから、巨額の資金をシャープに投じてしまわない方が鴻海株主にとってはありがたいと指摘した。
 鴻海のシャープ出資は1株550円、約669億円で株式9.9%を取得するという内容だったが、シャープ株価が昨年8月に200円を割り込み、両社の出資条件見直し交渉が明るみに出た。きのう26日の終値は290円。
 シャープはクアルコム、サムスンからそれぞれ約100億円の出資を受け入れるが、銀行の与信枠が6月末に期限を迎える上、9月には転換社債の償還期限を控え、多額の資金繰りが必要だ。
 なおシャープは、鴻海から期限までに払い込みがなかったのは、関係当局の許認可が得られなかったことなどが理由だと説明した。
 これに対し、経済部投資審議委員会(投審会)の張銘斌執行秘書は、昨年8月の段階で提出書類の不備を通知したが、鴻海はシャープと話がついてから再申請すると回答したため、投審会は申請を受けていないし、もちろん審査もしていないと説明。故意に審査を遅らせたり、許認可しないことはないと強調した。