ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶パネル事業の統合会社、ジャパンディスプレイ(東京都港区)の大塚周一社長は15日、ロイターのインタビューで、2013年度は売上高を前年度比4─6割増の7000―8000億円に引き上げる意向を示した。

米アップルなど大口顧客だけでなく、スマートフォン(多機能携帯電話)で3位争いをするメーカーへのパネル供給も拡大する。タブレット端末用の供給も開始し、営業利益率は5%前後を目指すという。

同社は個別の取引先名を明らかにしていないが、アップルがパネルの主要な納入先とされる。大塚社長は3月末で終了した12年度について、「想定していた大口顧客の注文が入らなかったことが響いた」と説明。アップルがiPhone(アイフォーン)5の販売減速を背景に、1―3月期のパネル注文を絞り込んだとみられている。ただ、大塚社長は「(3社の)統合前なら注文が急減すれば赤字が確実だったが、その状況でも黒字を確保する体質ができている」と述べた。



13年度については「(パネルの大きさ)5インチ台、フルHD以上のハイエンドのスマホ市場」を中心に、大口顧客以外との取引も拡大する方針を示した。スマホ市場はサムスン電子とアップルの2強に対し、ソニー、フィンランドのノキア、台湾HTC、韓国LG電子、中国の華為技術(ファーウェイ)HWT.UL、中国ZTEなどが3位争いをしている。大塚社長は「ソニーはグローバルに成功して欲しいし、ファーウェイなどは中国で強みを発揮できる。それが実際に実現できるかどうかはコメントする立場にないが、そうした可能性を持った顧客といい関係でビジネスの商談が進んでいるので先行きは明るい」と語った。

また、12年度は手掛けなかったタブレット端末へのパネル供給にも意欲を示し、「顧客が決まればいつでもできる」と強調。7インチ台の市場を中心に多数の顧客と商談を進めており、今年度中の出荷が期待できるという。

パナソニックから買収した茂原工場(千葉県茂原市)の第6世代設備の稼働は従来の6月の予定を前倒し、「早ければ5月に開始できる」と指摘。同工場でスマホ用パネルだけでなく、タブレット用パネルの量産を行っていく。

タブレット端末市場は、アップルのiPad(アイパッド)に、サムスンの「ギャラクシーノート」や「ギャラクシータブ」が対抗。このほか、アマゾン・ドット・コムの「キンドルファイア」、米グーグルの「ネスサス7」など7インチの端末が台頭している。7インチ台では、アップルがiPad mini(アイパッド・ミニ)の販売を伸ばしている。

上場については「早ければ2014年度、遅くとも15年度に実施したい」との意向を示した。

ジャパンディスプレイは昨年4月に3社の事業統合で発足。初年度となる2012年度は、売上高が5000億円弱、営業利益が数十億円(営業利益率1%未満)の水準で黒字を確保した。11年度の3社合算の売上高は4500億円だった。