シャープは中小型液晶パネルの生産体制を見直す。1995年稼働で生産効率が低い三重第1工場(三重県多気町)での量産を今年6月にも停止。携帯ゲーム機や車載機器向けパネルを第2工場(同)に集約して稼働率を引き上げる。同社は中小型パネルの強化を経営再建の柱に据えている。省エネ型の「IGZO(イグゾー)」パネルの増産も急ぎ、液晶事業の早期黒字化を目指す。

 同社は14日に発表した16年3月期までの中期経営計画において、今期の液晶事業の営業損益を300億円の黒字に転換する目標を掲げている。



三重工場には3つの工場棟があり、約2000人が働いている。第1工場は95年にノートパソコン向けの液晶工場として稼働。当時は世界最高水準の生産効率を誇っていた。その後、液晶パネルを切り出すガラス基板の大型化で競争力が低下。携帯ゲーム機などに活路を求めたが、高精細パネルに比べて画質が劣るため、顧客からの値下げ圧力が強く、採算が悪化していた。

三重第1工場は6月にも量産を終了。その後は一部受注済みのパネルの少量生産を続けるだけとなり、来年3月までに完全に操業を停止する。ゲーム機向けなどは今後、第2工場に集約する。従業員の雇用は配置転換などで維持。三重第1工場の減価償却はほぼ終わっており減損損失は最小限にとどまる見通し。

 シャープが発表した2013年3月期の連結決算では液晶事業の営業損益は1389億円の赤字。会社全体の営業赤字(1462億円)の主因となった。

 シャープは三重工場の生産体制を見直し、利幅の薄い汎用パネルの生産能力を絞り込む一方、付加価値の高いIGZOパネルの生産拡大に努める考えだ。

 携帯端末事業では14年度に売り出すすべてのスマートフォンとタブレットにIGZOパネルを搭載する計画で、天理工場(奈良県天理市)だけでなく亀山第2工場(三重県亀山市)でもIGZOパネルを量産できるように準備を進めている。