タッチパネル大手、台湾WINTEK(勝華)の黄顕雄・董事長は5月22日、高精細Retinaディスプレイの供給が不足している影響で、タブレットPCやスマートフォンの供給業者は出荷状況が不調だとの見方を明らかにした。その上で同氏は、台湾桃園楊梅にある二カ所の第3世代TFT-LCD工場を、Retinaディスプレイ用にする考えを示した。
5月23日付台湾各紙が報じた。



台湾紙『経済日報』(5月23日付)によると、WINTEKの2013年受注状況は、スマホ用では中国の新興ブランドXiaomi(小米科技)から受注。これに対してタブレットPC用では、米グーグル(Google)、台湾ASUSTeK(エイスース=華碩)、米アマゾン(Amazon)、韓国サムスン(Samsung)から軒並み受注を獲得。これにより、WINTEKのタブレット用タッチパネルのシェアは2013年、60%に上るものと見ている。

タブレットのパネルについて黄氏は22日、「2013年はRetinaディスプレイが7型にも搭載される」と指摘。その上で、「顧客は5~6月に量産を希望しているが、Retinaディスプレイの供給不足により、量産開始は7月にずれ込む」との見方を示した。

一方で黄氏は、「主力顧客向けの売上が、ピーク時の単月80億NTドル(1NTドル=約3.4円)から直近で20億NTドルまで減少した。13年7月にはゼロになる」と述べた。主力顧客が誰を指すかについて黄氏は明言を避けたが、同社が米アップル(Apple)からの受注を失ったことを示唆した。

経済日報によると、WINTEKは過去2年に357億NTドルを投じて、中国広東省東莞の松山湖に月産1000万枚(10型換算)を誇るガラス一体型OGS(One Glass Solution)タッチパネルの生産工場を設立した。ただ、タッチパネル搭載ノートPC(NB)登場によるOGSの需要増で、同社の供給能力も、2014年下半期には不足に転じる見込み。

これについて黄氏は、「パネルの中国CECパンダ(南京中電熊猫)と交渉中だ」とコメント。将来的に両社が、共同出資で第5.5世代、第6世代工場を建設する可能性があることを示唆した。