ガラス、液晶、偏光板と見てきましたが、次はトランジスターを形成する薄膜技術の進展を見ていきましょう。トランジスターを形成する基材がガラスであるため、特殊な金属が用いられます。トランジスタを構成する材料、ガラスとの密着性を高める材料、電極としての透明金属、そして配線材料や絶縁膜、といったものです。
これらはスバッタリングやプラズマ化学気相成長という、なじみの無い方にとってはなんとも仰々しい名前の工程を経て薄膜としてガラス上に積層・形成されます。
どのように薄膜形成するのか? 簡単に言ってしまえば、元の金属材料を微小粉体を固めてシート状に加工しておき、真空中で例えばアルゴンイオンを叩き付けて飛散させガラス面に付着・堆積させるというプロセスなのです。
エネルギーのかけ方にスバッタリングやプラズマCVDがあります。その装置がまたすごいことになっているのですが、それは別の機会にお話しするとして、シート状に加工している材料のことを見ていきたいと思います。



このシート状材料のことをターゲットと呼びます。ターゲットは、まず材料を粒のそろった紛体にし不純物を極限まで排除し、それを焼結し、そしてベース材に貼り付け加工するという工程を経ます。
これらターゲットは半導体でも使われているのですが、半導体と液晶の違いは基板の大きさです。
液晶製品の大型化と生産性の向上を目指しガラス基板が大型化していった歴史に引きずられ、ターゲットも大型化していきます。
如何に大型ガラス基板に対してもきちんと性能の整った大型化を成し遂げるか、ターゲットに対する要求は硝子基板サイズに比例して困難を極めましたが、切磋琢磨を経て今に至っています。
現状の一例としてアルバック社のターゲット材の資料をご参考まで。
液晶の大型化で発展したターゲットは、太陽電池のような新たな分野にも応用されて広がりをみせています。薄膜技術の今後の発展に注視したいと思います。