ノートパソコンブランドから受託生産メーカーへの、2014年度の見積依頼書(RFQ)発行が滞っている。このため、例年は6月上旬の台北国際電脳展(台北国際コンピューター見本市、コンピューテックス)終了後に順次受注が確定するが、今年は決定した機種は依然少数だ。ノートPC産業の先行きに不透明感が強まる中、ブランドメーカーが新機種の大幅削減や部品の共通化でコスト引き締めを図り、サプライチェーン全体が犠牲を強いられるとの懸念が浮上している。11日付電子時報が報じた。
あるODM(相手先ブランドで設計・製造)メーカーは、ノートPCブランドメーカーは例年7月に見積依頼書を続々と発行するのに、今年は大部分のブランドが音沙汰なしで異例な状況だと話した。宏碁(エイサー)やデルの見積依頼書は明らかに遅れており、その他ブランドも主要な見積依頼書をまだ発行していない。これは来年発売する新機種の規格や価格帯がまだ固まっていないためと推測している。



 ODMメーカーは、ブランドメーカーから見積依頼書が来ない限り翌年の規格や価格のポイントが分からず、リソースの配分や入札価格を決められないし、機種が確定しなければ開発に入れないと説明。見積依頼書の発行が遅れればODMメーカーの開発も遅れ、サプライチェーン全体の生産、開発スケジュールに影響が出ると指摘した。
 別のサプライチェーン関係者は、消費者はカラーなど外観や価格が異なれば気付かないので、ブランドメーカーは既存のモジュールを使い回して、さまざまな機種に使っていた部品を組み合わせることで、生産コスト、開発コストを抑える意向だと述べた。こうした事情で、開発の前段階での検討事項が増え、見積依頼書発行が遅れているとの見方だ。ある部品メーカー関係者は、モジュール開発依頼の数量が少なく、開発スケジュールも例年より少なくとも2カ月は遅いと話している。
 ODMメーカーは、業界では当初、第3四半期にブランドからの受注が増え、景気が好転すると予想されていたが、第4四半期の出荷見通しは依然不透明だと指摘した。もし今年、来年とノートPC出荷のマイナス成長が続けば、ブランドはさらに発注を手控えると懸念を示した。