消費者向けノートパソコン市場の低迷が続く中、ブランド各社が比較的安定しているビジネス向け製品を強化している。宏碁(エイサー)は新興市場や教育用の入札案件を積極的に開拓し、ビジネスPC部門の来年売上高の2~3割増を見込む。来春のWindowsXPサポート終了が買い替えブームを引き起こし、ビジネスノートPC大手3社、ヒューレット・パッカード(HP)、デル、聯想集団(レノボ)などのサプライチェーン企業の成長をけん引することも期待されている。29日付工商時報などが報じた。
エイサーは今年初めにビジネスノートPC、デスクトップ、サーバー、ストレージなどの製品分野をまとめてビジネス部門として独立させた。企業クラウド、プライベートクラウドを組み合わせた教育用、中小企業向けに狙いを定めている。今年ビジネスPCの出荷では、ノートが5%増、デスクトップが2%増の見通しだ。エイサーのビジネス向けノートPC出荷は同社ノートPC全体の1割、ビジネス向けデスクトップは同5割で、ビジネス部門の売上高は同社全体の3割を占める。



 エイサーの林祖威・ビジネス市場世界運営センター製品ソリューション管理総処長は、ビジネス市場は昨年から今年7月まで、消費者向けより業績が良かったと語った。来年上半期にはビジネス向けタブレット型PCを発売する計画もある。
 市場調査会社、IDCによると、エイサーの第2四半期のビジネス向けノートPC出荷は116万9,000台(シェア7.3%)で世界4位だった。上位3位は▽レノボ、347万6,000台(シェア21.9%)▽HP、312万5,000台(同19.6%)▽デル、235万8,000台(同14.8%)──。市場全体は1,590万6,000台でノートPC全体の37%を占め、前期比5%増と、ほぼ横ばいだったノートPC全体より良かった。
 ビジネス向けノートPCは、マイクロソフト(MS)が来年4月にWindowsXPとオフィス2003のサポートを終了するのに伴い、買い替えブームが起こると予想されている。
 サプライチェーンによると、HPやデルのビジネス向けノートPC販売は既に回復がみられる。両社のビジネスノートPCを受託生産する英業達(インベンテック)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)や、聯想集団(レノボ)から受注する緯創資通(ウィストロン)が恩恵を受けそうだ。
HPとデルは北米市場、レノボは中国市場で圧倒的な地位を築いている。ビジネスユーザーは大部分が地場ブランドから調達するためで、エイサーや華碩電脳(ASUS)が買い替えブームに乗るには、新興市場の強化が急務となる。