パソコンブランド大手、宏碁(エイサー)が7日発表した第2四半期決算によると、営業損失が6億1,300万台湾元(約20億円)と7四半期ぶりに本業で赤字転落となった。純損失も3億4,300万元と当初予測の損益均衡維持は達成できなかった。同業各社が従来型PC市場の減速を見越し、早くからモバイル端末に活路を見出した中、ここ2年でようやく力を入れ始めたエイサーは遅れを取り戻せないでいる。8日付電子時報などが報じた。
エイサーは赤字計上の主因として、DRAM価格の上昇および設計分野の投資強化を挙げた。証券会社はインテルの新CPU(中央演算処理装置)「ハズウェル」とマイクロソフト(MS)の「ウィンドウズ8.1(Windows8.1)」搭載製品は第3四半期末から第4四半期初めの投入が予定されているため、第3四半期の売上高は10%成長が見込めるが、損益均衡がやっととの見方を示した。

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 翁建仁総経理は先日、同社はかつてタブレットPC市場を軽視して対応製品を投入せず、ノートPCが大打撃を受けたことを認め、この2年はノートPCだけでなく、タブレットPC、スマートフォンの開発への投資を惜しまず製品力を強化していると説明した。ただ、英国の市場調査会社カナリスが発表した第2四半期の世界市場でのPCとタブレットPCを合わせた出荷台数ランキングでは、エイサーは5位以内にすら入ることができないでいる。
 タブレットPC市場では、今年7インチの「アイコニアB1」や7.9インチの「アイコニアA1」を投入し、低価格戦略が奏功して他社をリードしている。ただ、華碩電脳(ASUS)やヒューレット・パッカード(HP)、聯想集団(レノボ)も追随しているため、エイサーの優位は「つかの間」に終わる公算が高い。
 サプライチェーンの関係者によると、エイサーは「アイコニアB1」の次世代機種を今月発表するが、出荷台数の拡大には前機種の時ほど積極的ではないもようで、その理由として▽参入ブランドの増加で以前ほどの成長が見込めないこと▽タブレットPC市場全体が飽和しつつあること──があると観測されている。また、市場の成熟に伴い価格競争が激化し、利益獲得が難しいことも挙げられる。タブレット市場はアップル、サムスン電子以外の利益はわずかと伝えられている。
 一方スマートフォンは、2013年の出荷台数は前年比50%増ながらわずか150万台の予測だ。同事業の黒字転換は500万台を出荷目標に掲げる14年の予想で、同業他社には大きく引き離されている。
 エイサーの業績低迷の要因として、経営幹部層の大幅な交代もあるとみられている。11年にジャンフランコ・ランチ執行長(CEO)の離職を皮切りに、ここ1年は財務長、世界運営センター総経理、固定運算事業部副総経理、マーケティング長などが相次いで交代した。サプライチェーンの関係者によると、これに伴い来年の新製品計画に遅れが生じており、いまだに部品入札が行われていない状況だ。