小池教授は複屈折をとことん究め、色ムラのない液晶ディスプレー用「ゼロ複屈折フィルム」の開発に成功。またしても常識を覆してしまった。ご本人呼んで、第2の“息子”だ。
従来は複屈折を抑えるために高価な位相差フィルムが使われてきたが、それが不要になる。長さが100メートルもあるような巨大な乾燥機を使ってポリマーを溶媒から取り出すこれまでの製法に比べ、簡単な押し出し成形で作れるようになるので、製造時間も数十分の1に短縮される。もちろん、コストも低減できる。
「今、液晶テレビが値崩れして、日本メーカーが大赤字になっているでしょう? 台湾や中国、韓国の安いパネルが主流になってしまっている。だけど、色ムラを完全になくせるなら、中国やインドに納めるものも、先進国に納めるものも、全部日本で作ればいいじゃない? このゼロ複屈折フィルムを僕はあらゆる液晶パネルに入れていきたい」
 非常に大きな産物をもたらした。液晶の最前面に内蔵するだけで、ゼロ複屈折フィルムと同じように色ムラがなくなり、有機ELを超える画質を実現する「超複屈折フィルム」ができたのだ。サングラス越しでも画面が真っ暗にならなくなるので、スマートフォンやタブレット端末をカーナビゲーション用に使うのにも最適。
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