米アップルが近く発売する次期「iPad mini(アイパッドミニ)」について、中核部品となる高精細液晶ディスプレーの生産が遅れていることがわかった。

複数の関係筋がロイターの取材で明らかにした。このため、高精細液晶のアイパッドミニは年末商戦で限定的な販売にとどまるか、もしくは発売そのものが来年にずれ込む可能性が出てきた。

アップルは、次のアイパッドミニを10月中にも発表する見通し。2012年11月に発売した初代のアイパッドミニは画面の解像度が低いが、2代目となる次期モデルで高精細液晶「Retina(レティーナ)」ディスプレーの搭載を計画している。だが、グーグルやアマゾンが高精細で割安のタブレット端末を投入する中、アイパッドミニの高精細化が遅れれば、アップルは苦戦を強いられそうだ。

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高精細液晶の生産が遅れている原因は正確にはわかっていないが、関係筋の1人によると、液晶メーカーが省電力化などアップルの厳しい基準をクリアすることに難航したためという。高精細液晶は、LGディスプレー、サムスン電子傘下のサムスンディスプレー、シャープが供給メーカーになる見込みだが、2人の関係筋によると、9月末までにLGDが少量生産しているのみにとどまっている。

アイパッドミニと競合する画面サイズ7インチ台のタブレット端末は、競争が激化。すでにグーグルが「ネクサス7」の第2世代モデルを今年7月に発売したほか、アマゾンも10月の出荷を予定している。さらに、グーグル、アマゾンとも現行のアイパッドミニより高精細パネルを搭載している上、価格も割安。例えば、記憶容量16ギガバイト(GB)モデルでは新ネクサス7とキンドルファイアHDXは229ドルだが、アイパッドミニは329ドルと100ドル高い。

アイパッドミニには低価格化の圧力が高まっており、2人の関係筋によると、アップルは次期アイパッドミニで現行と同程度の精細度にとどまる液晶のモデルも投入する計画。関係筋の1人によると、このモデルには記憶容量8GBの機種を追加することを検討しているという。最低容量を現状の16GBからさらに引き下げることで、新興国市場などをにらんで低価格化を実現する。

米調査会社IDCによると、タブレット端末の市場でアップルは首位を保っているが、13年4─6月の販売シェアは32.4%にとどまり、前年同期の60.3%から大きく落とした。ネクサスやキンドルといったアンドロイドOS(基本ソフト)を搭載したタブレット端末のシェアは前年同期の38%から、今年4─6月期に62.6%へ拡大している。

アップルの今月の発表では、次期アイパッドミニとともに、9.7インチ画面のアイパッドの発売も明らかになる見通し。現行の第4世代モデルはすでにレティーナディスプレーを搭載しているが、次の第5世代でも高精細液晶を搭載する。さらに、タッチフィルムやバックライトの改善で、従来機より軽くて薄いモデルになるという。