ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は17日の業績説明会で、今年の世界総生産(GDP)成長率は2.5%で、来年は2.8%に上昇するとの同社独自予測を明らかにし、来年の世界経済は日米欧の経済回復により好感できるとの見方を示した。
 TSMCはモバイル端末の成長に伴う半導体需要の増加により、今年の前年比17~18%増収予測には及ばないが、来年の2桁増収は確実と強調。通年売上高、利益ともに今年から3年連続で過去最高を更新すると強気の見方を示した。18日付工商時報などが報じた。

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張董事長は半導体市場の今年の成長率を、メモリー需要の好調を受けて従来の3%から4%に上方修正した。来年は引き続きモバイル端末の出荷増が期待でき、半導体市場の成長源になると指摘した。スマートフォンはハイエンド機種の伸びが鈍る傾向にあるが、代わりにロー~ミドルエンド機種が急速に成長するため、世界出荷台数は今年の9億8,000万台から25%増の12億台、タブレットPCは今年の2億4,500万台(前年比54%増)から22%増の3億1,000万台に達するとの予測を提示した。
 張董事長はまた、今年は28ナノメートル製造プロセス製品で世界市場シェア84%に達するとの見通しを示し、先進プロセスで他社を大きくリードしたことが業績をけん引したと説明した。一方、20ナノプロセスは来年第1四半期に量産に入る。出荷は28ナノプロセスを上回るペースで拡大し、売上高に占める同プロセスの割合は来年10%、2015年には30%に上る予測だ。
 20ナノプロセスは世界で唯一同社のみが提供するという強みがあるものの、次世代の16ナノプロセスでは苦戦も予想されている。16ナノプロセスは来年第4四半期に試験生産、15年の量産を見込むが、ライバルのインテル、サムスン電子は14ナノプロセスをTSMCに先んじて量産に入る見通しのためだ。ただ張董事長は、既に大口顧客から良品率、コスト面での競争力を評価されているとして懸念はないとの考えを示した。
 2009年から兼任している執行長職については、来年6月までに退く意向を再度強調した。後任については1人または2人の共同執行長とする可能性を明らかにした。ただ、董事長職は今後も続け、経営戦略などに積極的に関わっていくと語った。
 なお、同日発表した第3四半期売上高は1,625億8,000万台湾元(約5,400億円)で、前期比4.3%増、前年同期比14.9%増。純利益は519億5,000万元と前期比0.3%増で、ともに過去最高を更新した。