2013年はタッチパネル市場で大きな意味を持つ。ITOフィルムの代替品材料となる銀ナノワイヤー、 銅メッシュ、
シルバーメッシュ、銀塩、銀ナノ粒子などの採用が本格化した年と言える。
今までタッチパネルはスマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン、ATM、そしてカーナビゲーションなどの主に小型画面サイズの機器に採用されて来た。しかし、最近、オールインワンPC、電子黒板、大型ノートパソコンなどの大型機器にもタッチUIが採用され、画面サイズが大きい程処理データ容量が大きくなるため、透明電極の抵抗が重要になっている。
現在は主材料として透明な酸化インジウムにスズを添加したITO(Indium Tin Oxide)が使われているが、ITOを用いる場合、ガラス基板のITOは抵抗が50~60オーム程度であり、フィルム基板のITOは量産性も考慮した場合、100オーム内外の抵抗を実現できる。

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ITOフィルムより抵抗の低いITOガラスを用いる場合、20~30インチ台まではITOガラスで十分にタッチの実現が
可能だが、重量と厚さ、デザインの自由度の低いさ、割れる恐れ、シート単位プロセス採用による生産性の低さなどの短所があるため、その克服のための様々な工夫が行われている。特に、大型ディスプレイでは抵抗の高いITOフィルムを使えないため、ITOフィルムの代替材が既に使われている。(実際には、ITOフィルムの代替と言うよりは重くて不便なITOガラスを代替する市場と考えるほうが正しい。)さらに、ITOに用いられるインジウムは希少金属のため供給が制限され、価格が高いことからも、これも代替する必要理由の一つと見られる。
これと共に、タッチパネルの価格は急落しており、光特性に対する要求も改善されている。そこで各タッチメーカーはスペックとコストの両方を満足させる方法を模索しているが、静電容量式タッチの構造に多くの変化が加えられている。
今まではアップルのGG(カバーガラス+ITOガラスセンサー)方式やGFF(カバーガラス + ITOフィルムセンサー2枚)タイプが大勢を占めた。しかし、現在は生産効率をより向上できる構造、コスト削減できる構造、加えて、より優れた光特性あるいは重量・厚さの側面から有利な構造が提案・採用されている。端的に言えば、ITOセンサーのレイヤーを減らし、プロセス、材料費用、そして厚さを減らすのである。代表的な構造はGG、 G1・G2、GFF 、GF2、GF1、G1F、インセル・オンセルがそれだ。
この市場変化により、ITOフィルムの面積需要は代替フィルムの需要増加やレイヤー構造変化で成長率が徐々に低下傾向と考えられる。また、中国などでは、ITOフィルムラインへの大規模投資により、ITOフィルムの価格も
急落すると予想される。