ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、インテルが来年下半期以降リリース予定のローエンドスマートフォン向けAtomベースの「SoFIA(開発コードネーム)」を製造プロセス28、20ナノメートルで受託生産するもようだ。一方、インテルはファウンドリー市場への本格参入を宣言しており、TSMCは重要顧客がいつ強敵に転じるか油断できない状況だ。工商時報が報じた。
インテルが先週発表したモバイル端末向けロードマップによると、2014年下半期にAtomプロセッサー、第3世代(3G)移動通信システム対応ベースバンドチップ、Wi-Fiなど通信機能を統合したシングルチップ「SoFIA」を、2015年に4GのLTE対応製品をリリースする予定だ。高性能の主力製品は自社で製造する一方、ローエンドの「SoFIA」は外部に生産を委託すると説明したが、委託先は明らかにしなかった。
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 業界関係者は、インテルは「SoFIA」でローエンドのスマートフォン市場シェアを拡大するため100米ドル以下で提供し、クアルコム、聯発科技(メディアテック)のARMベース製品に一定の影響を与えると予測した。
 証券会社は、「SoFIA」でTSMCが大口受注を得る他、台湾星科金朋半導体(STATSチップパック台湾)、日月光半導体製造(ASE)、SPILなどパッケージング・テスティング(封止・検査)大手も恩恵を受けると予測した。
 TSMCは、市場観測に関してコメントできないとしている。
 TSMCとインテルは09年、Atomベースのシステムオンチップ(SoC)で戦略提携を発表したが、顧客を十分集められずに10年末で断念した経緯がある。TSMCにとって今回はAtom受注の復活となる。
 しかし張忠謀TSMC董事長は従来より、今後はインテルとサムスン電子がライバルになると警戒している。張董事長に代わり今月12日に共同執行長(CEO)に就任した劉徳音氏と魏哲家氏は、インテルが先進プロセス研究開発(R&D)投資の早期回収を目的に、TSMCのファウンドリー商機を奪わないよう目を光らせることが当面の課題となりそうだ。