ジャパンディスプレイ(JDI)は19日、11月に設立した100%子会社、台湾顕示器(台湾ディスプレイ、TDI)を通じて、台湾の中小型液晶パネルのモジュールメーカー、中日新科技(スター・ワールド・テクノロジー、STC)を買収すると発表した。20日付経済日報によると、日本の液晶パネルメーカーによる台湾同業の買収は初のケースとなる見通しで、中国市場でのビジネス拡大を視野に、日台連携で韓国メーカーに対抗する意図が色濃く表れている。
TDIは3億7,400万台湾元(約13億円)で、中日新の発行済株式の約80%を第三者割当増資により取得する方針で、中日新の約61%の減資計画と併せて来年4月24日の臨時株主総会での決議を予定している。中日新の株式は過半を創業者一族が保有しており、特別な変化が起きない限り可決され、同年6月に第三者割当増資を実施できる見通しだ。減資前の1株当たりの暫定購入価格は1.8元だが、減資後は同4.66元となる見通し。ただし、減資実施後に中日新の株価が大幅に上昇し、4.66元を上回ってしまった場合、台湾の法律上第三者割当増資を実施できない可能性もある。
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 許庭禎TDI董事長は、中小型パネル市場において、JDIは生産能力拡充を、TDIは中国での販路拡大を進めているが、後工程モジュール(LCM)を強化することによって設計から製造、販売、サービスまでをトータルで顧客に提供できるため、中日新の買収を決めたと説明した。
 中日新は、中小型パネルモジュールを手掛け、顧客には中華映管(CPT)、瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)を抱える。液晶パネル市場の低迷で、2009年から現在までの累計赤字額が13億元に上っており、ここ数年、高雄工場、中国・蘇州工場、珠海工場の3工場の生産能力を7インチ製品を主力とする珠海工場に集中させ、財務体質改善を進めている。それでも、210万枚の月産能力の設備稼働率はわずか25~30%だ。
 JDIは、来年1月をめどにTDIの子会社を中国・深?に設立することも発表した。中国の顧客への営業、設計および品質のサポートサービスの強化が目的で、中日新の買収と合わせて、中国ブランドおよびホワイトボックス(白牌)と呼ばれるノーブランドのスマートフォン向けの商機を狙う。
 液晶パネル業界のアナリストは、現在液晶パネル産業は日台提携が必然の流れになっていると分析した。台湾液晶パネルメーカーは業績、株価ともに低迷し次世代工場を設置する体力が残っておらず、中小型パネルに注力する方向にシフトすることが避けられない情勢だ。一方JDIは、技術でリードしているものの、市場の変化に対応するスピード感や柔軟性に劣っている。このため、日台メーカーが相互補完によって、韓国メーカーや成長を遂げる中国メーカーに対抗することが期待できる。