行政院公平交易委員会(公平会、公正取引委に相当)は25日、アップルの台湾子会社、「アップル亜洲」に対し、スマートフォン「iPhone」の販売で大手通信キャリア3社の価格に干渉するなど競争を妨害したとして、罰金2,000万台湾元(約7,000万円)を科した。アップルを販売手法で処分したのは世界で初めて。iPhone販売をめぐっては、通信キャリアの販売台数にノルマを課すなどアップルの強気な姿勢が知られており、公平会が投じた一石が世界に広がる可能性もある。26日付工商時報などが報じた。

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公平会によると、台湾でアップル製品の販売を担うアップル亜洲が、通信キャリアの中華電信、台湾大哥大(タイワン・モバイル)、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)に対し、iPhone4、4s、5の発売前に料金プランを提出させ、確認および承認を得るよう指示していた。価格調整が要求されたこともあったという。そのため3社の料金プランに大きな差は生まれず、通信キャリアの自由競争を奪った公平交易法(公正取引法)18条違反に当たるとして即時中止を求めた。今後改善が見られなければ最高で5,000万元の再度の罰金処分も辞さない構えで、タブレット型パソコンの「iPad」も調査する予定だ。
 アップルは▽販売奨励金▽旧型機種の値下げ▽最低調達台数▽販売促進広告──などにも事前の承認を求めていたという。iPhone4では通信キャリア3社に対し、年間1億元の高額なマーケティング費用を投じるよう指示。3年間でアップル製品100万台を販売する契約を強いられた通信キャリアもあった。それでも人気製品を手放したくない通信キャリアは、アップルの要求に従わざるを得なかった。公平会は、本来、販売に関する権利は製品を調達し代金を支払った時点で通信キャリアに移るはずなのに、アップルの支配下にあると指摘した。なお、こうした販売手法は台湾スマートフォン市場首位のサムスン電子、2位の宏達国際電子(HTC)では見られなかった。
 台湾でのiPhone販売は年間約100万台で、シェアは3位。通信キャリア3社による、通信契約とのセット販売が9割を占めており、今回の処分を受けて料金プランの引き下げに期待がかかる。
 一方、アップルが処分を不服として提訴し、台湾市場から撤退することもあり得るとの市場観測も浮上しているが、公平会の孫立群報道官は、訴訟に勝つ自信があると強調。また「アップルにとって台湾市場は世界全体のわずか1%にすぎないが、決して小さいわけではないため、撤退することはないはずだ」との見解を示した。
 アップルは世界中で同様の販売手法を用いているとみられ、欧州連合(EU)も今年調査を開始したもようだ。その他の国・地域も公平会の判断に追随する可能性も指摘されており、その場合、アップルは利益が低下することになる。
 公平会の今回の処分に対し、アップルはコメントを控えている。