台北地方法院検察署(地検)は22日までに、鴻海科技集団(フォックスコン)の調達部門元幹部ら3人を証券取引法の背任容疑で拘束した。
容疑者らはグループ内の生産ラインの設備、原材料、資源調達などの審査、管理を行っており、サプライヤー10社以上から調達の見返りとしてリベートを受け取ったとされ、リベート総額は5億台湾元(約17億円)との試算もある。厳格な管理で知られる鴻海にとって、過去最大の不祥事の発覚となった。22日付工商時報などが報じた。
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拘束された3人は、元SMT(表面実装技術)技術委員会副主任委員兼シニア副総経理の廖万成容疑者と、元SMT技術委総幹事兼経理の志賢容疑者、およびサプライヤーとの仲介役を務めた?緒光容疑者の3人だ。既に離職した廖容疑者は、かつては郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の右腕とも称された。今回のリベート事件では主導的な役割を果たしたとされる。容疑者は事件が初めて明るみになった一昨年に解雇されている。このほか、iPhoneの生産ライン責任者を務めていた遊吉安容疑者(元SMT工程部経理、既に離職)、iPadの生産ライン責任者だった陳志釧・元SMT資深経理(既に離職)も拘束されたが、それぞれ200万元、100万元の保釈金を支払って保釈された。
 鴻海は21日緊急声明を発表。その中で、2012年9月に「サプライヤーに賄賂を要求し受け取った幹部がいる」という告発文を受け取り、中台の司法機関に捜査を依頼したと説明。事件発覚には心を痛めているが、捜査には協力を惜しまない姿勢を示した。
 同事件は昨年1月、有力週刊誌「壱週刊」が、容疑者が収賄容疑で中国当局に身柄を拘束されていると報じ世間に明るみとなった。台北地検は最近、?緒光容疑者が春節(旧正月)で台湾に帰省したとの情報をつかみ、関係者への事情聴取と拘束に踏み切った。
 容疑者らはいずれも、実刑が確定すれば最高で懲役10年の重罪が科される。
 鴻海は、かねてより不正撲滅のため、従業員の生活水準に目立った変化はないか、サプライヤーの財務諸表でおかしいところはないかなど、内外に目を見張る厳しい管理で知られていた。このため、郭董事長は事件に怒り心頭と伝えられている。収賄事件発覚後、同社は半年かけて調達プロセスを大幅に変更した。調達担当を定期的に変更する他、サプライヤーの数を半分に絞り、リベートを支払った場合は重大なペナルティーを科すことをサプライヤーとの契約に盛り込むなど対策を講じたとされる。