EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)が、通信サービス事業への参入準備を着々と進めている。第4世代移動通信規格(4G)の免許獲得を受けて、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が今月下旬にバルセロナで開催される移動通信業界の国際見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」を初めて視察するほか、6日には中華電信の前董事長、呂学錦氏をグループに迎えると発表した。
通信分野の先端技術開発に取り組むとともに関連受託生産の機会も探る。経済日報などが報じた。
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MWCの今年の主要テーマは4G応用サービスならびに次世代通信技術の発展で、鴻海は既に4Gサービスを展開している各国・地域の技術や発展状況を参考にするため、4G関連業務の幹部らも多数視察に同行する予定だ。
 鴻海はパソコンを中心とするハードウエアの受託生産で世界最大手に上り詰めたが、かねてからハードウエア生産偏重のビジネスモデルから脱却を図り、パソコンやテレビなどの電子製品とインターネット、クラウドの融合を目指す「8屏1網1雲計画」を掲げて、ハードからサービスまでを総合的に手掛ける「ハイテクサービス企業」への転身を目指している。そして昨年10月、4Gサービス免許獲得という大きな一歩を踏み出したばかりだ。MWCへは通信事業者として満を持して訪れることとなる。
 MWC視察では、中国の通信キャリアの中国移動通信(チャイナ・モバイル)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、通信機器の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)などの企業幹部らと面会し、これら企業から受注を獲得することも重要な目的とみられている。郭董事長は4G免許の競争入札の際、台湾市場を足掛かりに通信サービス分野で実績を積み、目標は世界進出だと表明していた。
 鴻海は4Gのみならず、次世代の5G、6G展開を見据え、次世代の通信製品、スマート型応用サービスなどの関連技術、特許、人材育成を担う「鴻通韜略発展中心(戦略発展センター)」の新設を発表。通信業界で38年のキャリアを持つ呂・前中華電信董事長を院長に起用する。郭董事長は「人材投資に資金は惜しまない」との姿勢で、呂氏の年収は破格の1,000万台湾元(約3,350万円)と伝えられている。
 呂氏は4Gビジネスを指揮するのではなく、5G以降も見据えた技術開発の責任者を務めるとされる。経験豊富な呂氏を迎えたことで、鴻海の目指す「ハイテクサービス企業」が完成度を高めると業界関係者は予測している。