群創光電(イノラックス)の親会社である鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長が、張家祝経済部長に友達光電(AUO)との合併に向けた相談を持ち掛けていたことが21日明らかとなり、液晶パネル大手2社の合併の可能性が注目を集めている。ただ、経済部は強力な介入は行わないと明言しており、政府の指導力が期待できない状況の下、両社だけで交渉が進むのかは観察が必要だ。24日付経済日報などが報じた。
張経済部長の発言は立法院で高志鵬立法委員(民進党)の質問に答弁したもので、郭董事長から相談を持ちかけられた時期については分かっていない。
 イノラックスが合併意欲を持つことが明らかになった一方、高立法委員によると、AUO側は郭董事長が合併を主導することには抵抗感が強いという。このことから、AUOは鴻海集団に吸収される形での合併は望んでおらず、少なくとも一定程度の経営自主権を維持したいと考えていることがうかがえる。
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 両社の合併は、多額の債務の処理や誰が主導権を握るかなど多くの課題があるため簡単には進まず、政府が指導力を発揮することが不可欠とみられる。両社の債務は合計4,000億台湾元(約1兆3,500億円)以上で、このうち3,000億元を政府系銀行から借り受けているため、政府は意向を反映させやすい状況にある。しかし経済部はあくまで「100%両社の意向を尊重する」との立場だ。この点、政府に台湾パネル産業の競争力強化の決意があるか否かが疑われ、かつてDRAM業界の再生を目指した構想が頓挫した経緯が思い起こされる。イノラックスとAUOは合併問題に関して連絡を取り合っているとされるが、AUOによると現段階では何の進展もないという。
 AUOは昨年3年ぶりに黒字を回復、イノラックスも黒字転換する見通しだが、両社とも今年1,000億元の債務償還を控えるなど依然経営は厳しい。ここ数年大量の製品供給を行ってきた中国市場で地場メーカーが勢力を伸ばしていることは大きな不安材料となっている。
 実際、両社は技術と設備面が似通っているため、合併してもただ単に生産規模が大きくなった上で供給先がないという事態に直面し、十分な合併効果を発揮できないという観測もある。さらには、欧米から独占禁止法違反で調査を受けるリスクもある。両社は既に合併の好機を逃している可能性があるが、日韓中メーカーとの厳しい競争の中でどのような選択を行っていくのか注目される。