今年の全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議(政協)-両会の「一号提案」は、初めて焦点を科学技術部門に合わせ、関連議題が多く取り上げられる。
 石油、チップ、鉄鉱石に継ぐ中国四位の輸入品、液晶パネルが議題に取り上げられる。全国政協委員、中国科学院院士の欧陽鐘燦氏は、世界液晶パネル市場で、中国本土出荷の割合は2010年の3.9%から2013年の13%に拡大したが、中国のフラットパネルディスプレイ(FPD)産業は、多大な圧力と課題に直面している。特に向こう五年が正念場となり、国家が政策支援を数多く提供すべきだと主張し、液晶パネル関税の税率を5%から10%に高め、中国国内業者に発展の時間を与えるよう提案している。
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 全人代の代表、TCL集団の董事長李東生氏も、関税政策において中国国内のFPD業界に対する保護を強化する意義は甚大だとし、方法として材料免税、付加価値税払い戻し、液晶パネル輸入関税の税率を当面の5%から8~10%に引き上げることをあげている。
 欧陽鐘燦氏によると、中国の液晶パネル輸入税率は他国・地域に比べ低すぎるという。ブラジルの12%、韓国の8%、欧州連合(EU)の14%に対して、中国本土は5%である。「国家が関税の税率を5%から10%に引き上げるよう希望する」と述べた。
 欧陽鐘燦氏は、税・財政政策支援のほかに、国家半導体ディスプレイ産業重要テクノロジープロジェクトの立件を求め、酸化物、低温多結晶シリコン、フレキシブルディスプレイスクリーンなど新型半導体表示技術開発と産業化でパネルメーカーに支援を与えるよう提案した。
しかし、中国のカラーテレビ・コンシューマエレクトロニクス企業に対するパネル輸入関税引き上げの影響を配慮しなければならない。
 パネル輸入関税の引き上げは、川下企業にとって生産コスト増加を意味する。2013年末時点で、中国で大型パネルの自給率は約30%で、川下企業への供給は輸入に頼っている割合が高い。
 もちろん、パネル輸入関税の引き上げは、本土のパネルメーカーに競争力を与えるとともに、世界液晶パネル生産能力の中国移転を促す効果もある。韓国のサムスン、LGなどはすでに蘇州、広州にパネル工場を建設した。