中小型液晶世界最大手のジャパンディスプレイ(JD)はスマートフォン(スマホ)向け液晶工場を新設する方針を固めた。1000億円前後を投じ、2015年度末までの稼働を目指す。兵庫県姫路市にあるパナソニックの液晶工場の一部を活用する案を検討しており、同社に打診したもようだ。中国勢が手掛ける中位機種のスマホでも高精細液晶のニーズは高まっている。JDが同分野で本格攻勢をかけることで、シェア争いが一段と過熱しそうだ。
 JDの液晶工場は国内に6カ所あり、いずれも高稼働率が続く。主力の茂原工場(千葉県茂原市)は今夏に増産体制が整うが、中国での需要拡大に対応するため、新工場建設に踏み切る。

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 JDは19日に東証1部に上場するのに際して1200億円強を調達し、これを新工場の建設費用に充てる。
 具体的には第6世代と呼ぶガラス基板で、月5万枚を製造する規模の工場を国内で建設する方針。5インチ液晶パネル換算で同1500万枚になる。茂原増産時の生産能力よりさらに6割程度増える。
 パナソニック姫路工場を一部活用する案が浮上している。同工場はタブレット(多機能携帯端末)向け液晶などを手掛けるが、運営会社は経営効率化を迫られている。同工場は建屋内に空きスペースがあるほか、インフラも整っており、JDは早期に新工場を稼働できるとみている。
ただパナソニックは現時点で、JDによる活用案について慎重な姿勢を崩していない。このため石川県川北町などJDの工場敷地内に建設することも検討している。
 JDは材料に低温ポリシリコンを使った高精細液晶パネルが強みで、米アップルや日本メーカーのスマホ上位機種に供給してきた。最近では中国の端末メーカーからの受注も拡大。華為技術(ファーウェイ)や北京小米科技(シャオミ)など新興メーカーとも取引が始まったもようで、新工場はこれら中国勢の需要増に対応する狙いがある。
 ソニーと日立製作所、東芝の液晶部門が統合して誕生したJDの中小型液晶の世界シェアは16.2%で首位(13年、米NPDディスプレイサーチ調べ)。上場後は筆頭株主の産業革新機構の出資比率は36%弱と上場前の半分以下となり、日立、東芝、ソニーの同比率も2%弱に下がる。
 上場を機に、機動的に資金調達できる態勢を整え、収益力を高める。