友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)の、液晶パネル大手2社の合併計画が立ち消えになった。主導権をめぐる交渉がまとまらなかったためで、経済部はこのほど行政院に対し「合併の可能性はなくなった」と報告した。しかし台湾パネルメーカーは、輸出の88.5%を占める中国市場で過去5年韓国メーカーの後塵を拝したまま、中国メーカーの追い上げも受けている。競争力強化が課題の中、スケールメリットを捨てて製品力だけを追う戦略が有効なのか疑問も残る。17日付工商時報が報じた。
パネルメーカーは年初の時点で政府が合併計画を主導することを期待していたという。しかし数カ月間のフィジビリティスタディ(実行可能性調査)や各社との意思疎通を経た結果、あくまで合併を強行する場合は「ジャパンディスプレイ方式」以外なく、その場合は政府が債務処理問題を主導せざるを得ず、社会に好ましくない印象を与えると判断した。
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 政府関係者は、2016年から主要設備の減価償却が段階的に終了するため、製品の利益が15%拡大する余地がある上、両社は銀行の融資借換など債務交渉もまとまっており、財務体質の改善が見込めるため、合併を急ぐ必要はないとの認識を示した。

  呉明機工業局長は年初にAUOとイノラックスを訪問しており、「合併の課題は主導権問題にある」との見方を示した。市場観測によると、AUOは、イノラッ クスと合併するとしても、イノラックスの親会社、鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長を排除しない限り主導権を掌握できないと 考えており、イノラックスはこれに抵抗感を抱いている。
イノラックスはさらに、両社の顧客は重複が多く、投資先も似通っており、合併効果は1プラ ス1が2に満たず、現状維持の方が好ましいと考えているようだ。経済部は、両社の合併は台湾パネル産業の競争力向上に寄与するとの認識だが、2以上の効果 を生むかには疑問を持っている。

 また、合併を行った場合、中国や韓国メーカーが独占禁止法を盾に条件を突き付けたり、合併スケジュールの遅延を図ったりして、効果が減じる恐れもあるという。
  経済部統計処が16日発表した統計によると、2013年の液晶パネル輸出総額は158億9,000万米ドルで前年比5.2%減少した。減少は3年連続だ。 中国市場シェアも27.4%と3年連続縮小した。韓国メーカーの中国市場シェアは30.7%で、台湾は09年に追い抜かれた後2位に甘んじている。中国 メーカーが新世代生産ラインを次々と稼働させる中、そのうち3位に落ちるとの懸念の声も聞かれる。