鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は25日の株主総会で、現在80%の時間を今後5年の製品計画に充てていると明らかにした上で、ハードウエア生産偏重のビジネスモデルから脱却を図り、パソコンやテレビなどの電子製品とインターネット、クラウドの融合を目指す「8屏1網1雲計画」について、デバイスの「8屏」にロボット、ウエアラブルデバイス(装着型端末)、電気自動車(EV)を追加して「11屏」に拡大すると表明した。
いずれも需要増が見込め、業績成長への貢献を期待する分野だ。26日付経済日報などが報じた。
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郭董事長はこのうちロボットについて、鴻海が生産を手掛けるソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」に触れ、「ペッパーがすご いのはハードではなく、その背後にあるソフトだ」と指摘。その上で「ペッパーのようなロボットは、将来、人類の生活にとり重要なプラットフォームとなる。 ウエアラブルデバイスよりも将来性が高い」との認識を示した。
 ウエアラブルデバイスについては、「医療分野と連結しなければただの装飾品にすぎない」と語り、「現在は話題性が高いだけの段階にとどまっており、本格的な需要の伸びには数年かかる」と予測した。
 郭董事長はまた、今年のグループの増収目標について前年比15%増という数字を示した上で、増収幅、増益幅も10%以上達成に自信があると語った。
  郭董事長はまた、もし鴻海ならば、米テスラモーターズとの提携でEVを1万5,000米ドル(約45万台湾元)で作れると豪語した。テスラのEVは1台 200万~300万元(約680万〜1,020万円)で発売後すぐ中国の富豪に人気となっている。郭董事長のこの発言は中国の比亜迪(BYD)に対する宣 戦布告とみられている。
傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノラックス)について郭董事長は、「現在の世界3位から2位へ向けてまい 進する」と意気込みを示した。現在液晶パネル業界は1位がLGディスプレイ(LGD)、2位はサムスン電子となっており、イノラックスがサムスンを抜いて 2位となった場合、台湾電子業界ではファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に続く、主要分野で「サムスン超え」を果たす企業となる。
  液晶パネル関連では、シャープとの提携に関する問題が株主の関心を集めた。これに関して郭董事長は、「(自身が個人で出資する)堺ディスプレイプロダクト (SDP、旧シャープ堺工場)は3年もたたずに黒字化を達成した」と強調。「技術も盗まず、出荷先を確保し、日本人にパネルは没落産業ではないことを証明 した」と語った。

 ただ、昨年3月に事実上白紙に戻ったシャープとの資本提携で、再交渉を進めるかどうかについては、「出資の価値があるか検討する必要がある」と明言を避けた。