液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)の段行建董事長は1日、中国の生産ラインの25~30%を今後台湾に移転する方針を示した。人件費が過去8年間で4倍に高騰、かつ人手不足が深刻化し、中国投資のメリットが薄れたことを受けての判断だ。台湾では生産ラインの自動化に注力して収益力を強化する。2日付経済日報が報じた。
段董事長は、近年欧米の電子メーカーにも中国から撤退して自国生産に戻す動きが相次いでおり、良品率向上や作業時間短縮のための生産ラインの自動化推進が「再工業化」と呼ばれていると説明。イノラックスも台湾で「再工業化」を進めると表明した。さらに、液晶パネル産業は今後、規模の大きさではなく利益獲得が重要になり、自動化はその重要な鍵を握るとの認識を示した。
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王志超同社総経理によると、同社はかつてタッチパネルで、台湾生産した半製品の液晶セル(オープンセル)を中国やタッチパネルメーカーに送って貼り合わせ 作業を行い、再び台湾工場に戻していたため、生産期間は全部で49日にも及んでいた。しかし現在は南部科学工業園区(南科)での一貫生産に切り替えたこと で生産工程が25~26日に短縮、良品率も3~5%上昇した他、必要人員もかつての3分の1の8人まで削減することに成功したという。
 なお、イノラックスは今後中国にも台湾での自動化実績を移植して、生産レベルの向上を図る考えだ。
 イノラックスは同日、▽南台科技大学(台南市)▽崑山科技大学(同)▽遠東科技大学(同)▽高雄第一科技大学(高雄市)──の技術系大学4校と産学連盟を組み、不足している専門人材の育成を図ると発表した。
  南台科技大にはアジア初となる自動化実験室を設立。ロボットを手掛ける台湾エプソンからロボットアーム4セットが寄贈された。同校は昨年度から機械、電 気、資訊工程系で「産業機構の自動化」を授業に取り入れており、イノラックスが教材の編集や専門家を派遣するなどで協力している。
 イノラックス は大学4年生をインターンで受け入れ、毎月2万8,000台湾元(約9万5,000円)を支給し、一定の評価をクリアした学生を卒業後に同社の自動化部門 の副エンジニアとして迎え入れている。契約期間は2年で月給は3万7,000元から。今年も35人に内定を出すなど、人材囲い込みで成果を挙げている。
 一方、高付加価値液晶パネルの研究開発(R&D)に注力している同社は、▽車載用▽医療用▽航空機用──の出荷シェアでそれぞれ世界首位に立った。同社は参入が早く、液晶パネルの応用が進んだことによる需要拡大に伴い出荷を伸ばしてきた。
車 載用の世界シェアは昨年23%を獲得し初めて首位に立った。欧州メーカーを大口顧客に抱え、ビフォーマーケット、アフターマーケット共に出荷枚数は年間 1,000万枚に上る。一方、医療用、航空機用は出荷枚数は多くはないが成長を続けており、3分野とも同社の利益拡大に貢献している。