米アップルが来年初めに発売予定の腕時計型ウエアラブル(装着型)端末「アップルウオッチ」の2015年出荷台数は最大3,600万台に上るとの見通しが、資訊工業策進会(資策会)産業情報研究所(MIC)より示された。
ウエアラブル端末市場全体の同年出荷予想は7,400万台で、そのほぼ半分を同製品が占める可能性もあるとの見方だ。アップルウオッチは目新しさがなく349米ドルと高額なことから売れ行きを不安視する声もあるが、人気スマートフォン「iPhone」との互換性が強みになるとみられる。工商時報などが報じた。
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MICによると、iPhoneの年間出荷台数は1億6,000万台-1億8,000万台。このうち1?2割の購入者がアップルウオッチも買うとみて、来年 の出荷台数を2,000万?3,600万台と予想した。MICは来年のウエアラブル端末全体の出荷台数を7,400万台と今年(3,120万台)の約 2.4倍に増えると予想しており、アップルは来年の出荷シェアで27?49%を確保するとの見方だ。アップルは腕輪型市場で最大手の米フィットビット社 を、腕時計型市場では最大手のサムスン電子を抜いてシェア首位に立つとみられる。
 16年以降のウエアラブル端末出荷見通しについてMICは、16年は前年比52.3%増の1億1,270万台と1億台の大台に乗り、17年は37.6%増の1億5,510万台、18年は25.1%増の1億9,400万台へ増え続け、2億台に迫ると予想した。
  なお今年のウエアラブル端末出荷の形態別割合は、▽腕時計型・腕輪型、73.4%▽眼鏡型(頭部装着型含む)、5.4%▽その他、21.2%──と予想。 腕時計型・腕輪型のうち、来年は腕時計型の割合が5割以上へと、現在の30?40%から拡大し、ウエアラブル端末市場の主流となる見通しだ。
  アップルウオッチの出荷拡大により、台湾サプライチェーンでは組み立てを独占受注しているとされる広達電脳(クアンタ・コンピュータ)が最大の恩恵を受け そうだ。また、鴻海科技集団(フォックスコン)や英業達(インベンテック)もアップルウオッチの受注を狙っているとみられる。
この他、仁宝電脳工 業(コンパル・エレクトロニクス)と和碩聯合科技(ペガトロン)も今後の成長が見込める腕時計型・腕輪型の組み立て受注を狙って動き出しているもようだ。 許桂芬MIC産業アナリストによると、腕時計型・腕輪型ウエアラブル端末は体積が小さいものの組み立ては難しくなく、さらに聯発科技(メディアテック)な どIC設計大手がウエアラブル端末用に統合パッケージ化したプラットフォームを開発しているため、携帯電話やパソコンの受託生産を長年手掛けてきた台湾 メーカーはウエアラブル端末に参入する上でも優位性があると指摘した。
 一方、グーグルの「アンドロイド・ウエア」陣営では、モトローラがこのほど腕時計型の「Moto360」を発売した他、華碩電脳(ASUS)やLGエレクトロニクスも新製品を投入していく予定で、来年の出荷成長が見込まれる。
  台湾サプライチェーンではICチップメーカーや、バッテリーの新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)と順達科技(ダイナパック)がアンドロイド陣営 からの商機獲得を積極化している。シンプロの宋福祥董事長は、来年はウエアラブル端末の新製品向けに出荷を予定しており、これにより同社の粗利益率は 11%超と、2桁を維持できるとみている。