ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16ナノメートルFinFET(FF、立体構造トランジスタ)プロセスを採用したARMの64ビット(bit)対応big.LITTLE構造モバイルプロセッサーの生産に世界で初めて成功したと発表した。
早ければ第4四半期に関連製品の量産が始まり、聯発科技(メディアテック)が同技術を採用する最初の顧客となる可能性が高いとみられる。台湾の携帯電話チップは本格的に16ナノ時代を迎えることになる。1日付経済日報などが報じた。
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TSMCの発表によると、今回生産に成功したのはARMv8アーキテクチャー・ベースの大型コア「コーテックスA57」と小型コア「コーテックスA53」搭載のモバイルプロセッサー。量産時期は第4四半期から遅くても来年第2四半期とみられている。
  ファウンドリーに注力するサムスン電子は、来年第2四半期より14ナノFinFETプロセスでクアルコム向けにモバイルチップの量産を計画しているが、 TSMCの16ナノがが先行する見通しとなったため、クアルコムはサムスンの14ナノに振り換えた一部発注を再びTSMCに戻す可能性があるとの見方も出 ている。
 TSMCは今年と来年で16ナノプロセス製品が50種類に達する見通しだ。張忠謀(モリス・チャン)董事長は今年7月、来年は次世代プロセスの競争でサムスンにリードを許し、16ナノプロセスのシェアが低下するという予測を示していたが、外れる可能性がありそうだ。
 なおTSMCは16ナノFinFETプロセスのアップグレード版「FinFETプラス」でも今後、コーテックスA57/A53搭載プロセッサーの生産を進める方針だ。
 TSMCの20ナノプロセスはクアルコムの携帯電話用、ウエアラブル(装着型)端末用チップが量産体制に入るため、第4四半期もフル稼働が続く見通しだ。
  第3四半期は生産能力の8割近くがアップルの「A8」プロセッサーに充てられたが、十分な供給量を確保したことで、TSMCは第4四半期のウエハー投入予 定枚数を小幅に引き下げていた。ただ、タイミング良くクアルコムの製品が量産となるため、懸念された生産能力の空きが埋まる。TSMCは第4四半期に過去 最高の売上高を記録し、非需要期の来年第1四半期も需要が落ちない見通しだ。