中韓自由貿易協定(FTA)が来年下半期にも発効する見通しとなったことを受けて、台湾は今年末に予定される中台物品貿易協定の技術会合で、液晶パネル、石油化学製品、自動車の3項目へのゼロ関税枠導入を中国側に提案する方針だ。完全ゼロ関税を求める場合、交渉が難航する懸念から一定枠のみゼロ関税として迅速な合意を目指し、重要品目で中韓FTAの影響を軽減する考えだ。19日付経済日報が報じた。
政府関係者によると、ゼロ関税枠は中台の経済規模の大小に従って合理的な設定を行う。中国は現在、自国産業保護のため、台湾の一部石化製品、自動車の完成車、液晶パネル、工作機械の4分野を海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ品目)の対象外としている。
にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ
にほんブログ村


これら分野の台湾製品は、中国市場に無制限に輸入されることに抵抗感を持つ中国業者が多く、台湾側は、ゼロ関税に一定枠を設けて、超過分は規定の関税を課徴するルールであれば中国側の懸念を和らげられると判断している。
 ちなみに、台湾はかつてアーリーハーベスト交渉で、台湾が自動車輸入全体の25%に当たる1万台の中国車輸入を認める一方、中国側に対し同割合に基づい て10万台の台湾車輸入を認めるよう要求したが、中国は他国ブランドが台湾からの輸入車に紛れ込むこと、および自製率の割合認定が困難だとして拒否した経 緯がある。このため技術会合では、原産地規則の確立についても協議する方針だ。
 19日付工商時報によると、完成車の対中輸出でゼロ関税実現に時 間がかかっていることで、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が台湾に工場を設置する可能性はほぼなくなったようだ。同社関係者は「完成車がECFA のアーリーハーベストに含まれ、対中輸出でゼロ関税の割当が受けられるのであればとかつては台湾での工場設置を検討したが、サービス貿易協定、物品貿易協 定の交渉が進んでいない」と話した。
 VWは東南アジアではタイでの工場設置を検討している他、中国で仏山(広東省)、武漢(湖北省)、フフホト(内モンゴル自治区)への工場建設を決め、既に今後数十年の東アジア市場の需要に対応できる態勢を整えた。
  中韓FTAについて馬英九総統は19日、中国に進出している台湾企業(台商)はたちまち受注喪失と顧客からの値下げ要求に直面すると危機感を示した。さら に、中国がオーストラリアとFTA交渉妥結で合意したことを挙げて、「韓国も中国も、全世界が台湾を待ってくれない。しかし台湾は民進党を苦々しく待って いる」と述べ、民進党のせいでECFA完成が遅れていると改めて批判した。
 これに対し民進党は、「多くの学者や専門家が、馬政権は中韓FTAを過大評価していると批判している。民進党はサービス貿易協定の条文ごとの審査に賛成しており、馬総統は責任を他人に押し付けるべきではない」と反論した。