ノートパソコン受託生産世界2位、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は経済日報のインタビューで、今年中国で賃金が平均15%上昇したことを受け、ノートPCの受託価格を早ければ来年春節(旧正月)以降にも5~15%引き上げると表明した。既に顧客と交渉中だという。25日付同紙が報じた。
陳総経理は、台湾の電子製品受託メーカー各社は、中国で労働力不足と管理の難しさという2つの問題に長い間直面してきたが、ここ数年は予測を上回る賃金上昇によって経営環境は厳しさを増していると説明した。
現在、生産ラインの従業員1人当たりの最低月額賃金は約1,700人民元(約3万3,000円)と定められているものの、多くの企業が10%以上上乗せしなければ人材を確保できない状況だという。特に出荷ピークの第3四半期は、4,000元を提示した同業があったほど労働力不足は深刻だったと語った。
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 陳総経理は、こうした状況から、利益の安定と顧客への新技術提供能力の維持のためには、受託価格の調整は避けられないと説明した。前回の受託価格引き上げから6~7年もたっており、賃金上昇分を受託価格に転嫁することを検討しており、顧客と交渉していることを明かした。
 なお、同社は今年通年のノートPC出荷台数を、前年比9%増の4,275万~4,285万台と予想している。陳総経理は、来年は業界全体の出荷台数が今年並みまたは3%減と予測しているが、同社は受注が安定しており、業界平均を上回る伸びを見せると自信をのぞかせた。
  タブレット端末については、来年世界出荷台数は大幅に減ると予測。特に全体の40~50%を占める中国のホワイトボックス(中国語・白牌。ノーブランド、 無名ブランド)は、利益が出ない90~100米ドルまで下がるほど価格競争が白熱しており、出荷が激減するとの見方を示し、「あっという間に淘汰(とう た)される」と強調した。

 一方、大手メーカーがさらに勢いを増す流れは変わらないと分析。同社は米系大手メーカーのサプライチェーンに入ってしており、顧客とともに成長が望めると説明した。

 なお、同社はモノのインターネット(IoT)市場に注力する方針で、スマートフォン、タブレット端末、ウエアラブル(装着型)端末、産業用コンピューターなど製品の多様化を図り、ノートPC以外の売上構成比を来年は30%以上に引き上げたい考えだ。