鉄鉱石や鉄スクラップなど製鉄原料相場の下落が続いている。鉄スクラップの国際指標となる米国のトルコ向け輸出価格は、トン当たり240ドル前後(本船渡し価格)と2月上旬から50ドル以上も下落。
国際指標となる中国向け鉄鉱石(豪州産粉鉱石・鉄分62%)のスポット(随時契約)価格はトン当たり63ドル前後で、2014年2月から5割近く下がり、約5年ぶりの安値圏で推移している。
「中国の春節(旧正月)前に売買が手控えられたほか、季節的に4月から6月にかけては鉄鉱石価格は弱含みやすい」(マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役)との指摘があった。

欧州の景気低迷を背景に、米国のトルコ向け輸出価格は低調に推移。外国為替のドル高傾向を背景に欧州圏などからの鉄スクラップ流入が増え、米国内の需給が緩和している。
 中国のビレットなど半製品の供給増も鉄スクラップ相場を下押ししている。日本産スクラップは、米国産と比べた割安感が薄れ、さらに下押しされるとの懸念も浮上している。
 金属調査会社アイアールユニバースの棚町裕次社長は、「中国に続きロシアの廉価鋼材供給が急増している。ルーブル安により外貨獲得手段として鉄鋼製品の安売り攻勢を拡大、国際鉄鋼市況を下押ししている」と指摘する。
 国内鉄鋼業は警戒感を高める。「円安でも輸入材が減らない。中国、韓国の輸出拡大は懸念材料。ロシアの輸出攻勢も影響は限定的とみているが警戒が必要」(国内高炉幹部)との懸念が広がる。