太陽光パネルの世界大手メーカーが日本市場に攻勢をかける。インリーグリーンエナジー(中国)など4社は年内に、発電能力で計380万キロワットのパネルを出荷する。太陽光発電の買い取り価格引き下げで割安な海外製品の需要が高まる。現在約3割の海外製品比率は4割を超える見通しだ。消費者にとって選択肢が広がり、発電コストの低下にもつながりそうだ。
 世界トップ3(2013年時点)のインリー、トリナ・ソーラー(中国)、カナディアン・ソーラー(カナダ)は15年出荷量をそれぞれ90万~100万キロワット超と、前年比3~5割増やす計画だ。
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 大規模太陽光発電所(メガソーラー)用の太陽光発電設備の価格は1キロワットあたり30万円弱程度とみられる。国内メーカーの製品と、海外メーカーの価格差は円安で縮まっているが、なお海外製品が1~2割安い。
 各社は低価格製品を求める日本の消費者向けに、住宅用など中規模以下のパネル販売にも力を入れる。利用者にとっては発電コストの抑制へ選択肢が広がることになる。
 トリナは発電量を重視した最新モデルを、日本で先行出荷する。年内をメドにインターネット通販を始める計画で、販路を拡大する。カナディアンは発電設備に必要な機器一式をまとめたシステム販売に注力する。機器ごとに販売するより割安さを前面に打ち出す。
 ハンファQセルズ(韓国)も前年比で2割増の出荷を見込む。住宅向け市場を開拓するほか、自社の太陽光発電所で採用する。電力の小売事業への参入も検討している。
 4月から太陽光発電の買い取り価格の引き下げなどで、メガソーラーの事業環境は厳しくなっている。ただ、国や電力会社と手続きを済ませた発電所の建設計画が大量に積み残されている。
 住宅向けも引き続き需要が見込まれるため、15年の太陽光パネル出荷量は過去最高だった14年(928万キロワット)並みになるとの見方が多い。海外4社の出荷計画分だけで日本市場の4割を占めることになる。
 日本の太陽光発電市場は世界で中国に次いで大きく、米国や欧州を上回る。13年の世界の新規導入量のうち日本は約2割を占めた。「買い取り価格はなお世界最高水準で、海外からの投資は継続する」(カナディアンのショーン・クゥCEO)との声もある。
  日本メーカーの出荷は海外勢との低価格競争で伸び悩みそう。シャープは2月に14年度の太陽光パネルの販売量見通しを下方修正し、前年度比で9%減とし た。15年度の計画は明らかにしていないが、経営再建のために太陽光パネル事業の縮小も検討するもようだ。昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティア (東京・港)は、15年の国内向け出荷を前年比で6%程度減らす方針だ。