LEE 00AUO_2友達光電(AUO)を世界4位の液晶パネルメーカーに育て上げた李焜耀氏(62)が11日、同社董事長を退任した。
1996年、李氏が宏碁(エイサー)傘下のパネルメーカーとして設立した同社は、2度の合併を通じて鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の群創光電(イノラックス)と並ぶ台湾業界の2強に成長。
09年以降、中国メーカーによる人材引き抜きや、米国カルテル(価格協定)訴訟の有罪評決で大幅な赤字に見舞われたが、技術力を武器に過去2年は安定した業績を回復した。
辞任は健康上の理由とうわさされているが、同社は事業承継計画の一環と説明した。12日付工商時報などが報じた。

李氏は76年、同年設立のエイサーに入社し、91年にエイサー傘下の明基電脳(現・明基電通、BenQ)総経理に就任した。  96年、達碁科技(エイサー・ディスプレイ・テクノロジー)を設立した後、01年に聯華電子(UMC)グループの聯友光電(ユニパック・オプトエレクトロニクス)を合併し、社名変更により誕生したAUOの董事長に就任した。
「友達光電」の名称は「達碁」と「聯友」から1文字ずつを取り、日本語の「友達」と同じ意味であることから名付けられた。
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02年には液晶パネルメーカーとして世界で初めてニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を果たした。  さらに06年、広達集団(クアンタ・グループ)傘下の広輝電子(クアンタ・ディスプレイ)を合併し、大型から小型までほぼ全てのサイズのパネルを供給で きる各世代の生産ラインを手中に収めた。
李氏は01年、明基電脳の自社ブランド「BenQ」を創設し、携帯電話や3C(コンピュータ、通信、家電)製品にも注力した。05年にはシーメンスの携帯 電話事業を買収したが300億台湾元(約1,200億円)の大幅赤字が発生、翌06年に失敗を宣言した。  AUOを含む日台韓パネルメーカーは12年3月、米国で不当に価格を操作していたとして反トラスト法(独占禁止法)違反に問われ、有罪評決が言い渡され た。
同社は無罪を主張し続けたが、幹部3人が実刑判決を受け服役、5億米ドルと高額の罰金支払いを命じられたことなどで、李氏は心身ともに疲労したとみら れている。  
李氏は昨年10月、脳卒中で入院し、4カ月間の静養を経て今年2月にAUO董事会に復帰したが、6月2日の株主総会を待たずの退任となった。なお、 AUO董事長は退任するが、BenQと佳世達科技(Qisda)董事長、およびAUO、明基材料(BenQマテリアルズ)の董事は引き続き担当する。  
李氏の後任には彭双浪(ポール・ポン)総経理(56)が同日昇格した。彭氏は、90年に明基電脳に入社。98年にAUOの調達担当副総経理に就任、08 年に世界業務執行副総経理に昇格した。テレビやモニターなど消費者向けディスプレイ製品の事業群を率い、重要な顧客との関係を確立し、合弁でモジュール工 場を設立するなど、パネル出荷先の拡大に貢献した。
12年、総経理に就任し、技術向上や製品の差別化など経営体質の改善を推進し、AUOを黒字転換に導い た。  AUOは昨年第4四半期まで7四半期連続の最終黒字で、今年第1四半期の営業利益率は9.4%と過去19四半期で最も高くなっている。  
李氏の董事長辞任は、AUOの経営が安定したことのほか、長女の李晏榕氏の立法委員選挙出馬が理由とのうわさもある。  外資系証券会社の間では、中国や韓国のパネルメーカーに対抗するため、ジャパンディスプレイ(JDI)のように、AUOと群創光電(イノラックス)の合 併を望む声が出ている。
ただ、市場調査会社、ウィッツビューの張小彪・研究部副総経理は、両社ともに業績が改善しているので、合併の魅力は薄いと指摘し た。