アップルのサプライヤーによると、次世代スマートフォン、iPhone6sシリーズは良品率が予想以上に高く、例年9月の発売を8月に前倒しする可能性がある。供給不足が深刻な電力増幅器(パワーアンプ、PA)をはじめ、サプライチェーンの台湾メーカーに緊急受注、追加受注が相次いでいる。一方、バッテリーやアンテナなどは中国部品メーカーの採用が拡大し、脅威が増している。18日付経済日報などが報じた。
 サプライヤーによると、iPhone6s、iPhone6sプラス向けPAの主要サプライヤー、米スカイワークス・ソリューションズは、生産委託先の宏捷科技(アドバンスド・ワイヤレス・セミコンダクター、AWSC)に対し、6月から生産量を増やすよう要求した。
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コルボも全新光電科技(ビジュアル・フォトニック・エピタキシー、VPEC)にPAの6月出荷を求めており、アバゴ・テクノロジーの受託生産を行う穏懋半 導体(WINセミコンダクターズ)は受託量を増やしている。背景には、第4世代移動通信システム(4G)、モノのインターネット(IoT)時代の到来で、 高出力、高効率(低消費電力)、低雑音化を実現するPA需要が大幅に増えていることがある。
 観測によると、iPhone6sシリーズはカメラレ ンズが1,200万画素に引き上げられ、大立光電(ラーガン・プレシジョン)が恩恵を受ける見通しだ。コネクタ、ケーブルの正イ精密工業(イは山の下に 威、フォックスリンク)は出荷量が月ごとに増え、組み立ての鴻海精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)は受注の準備を1カ月前倒ししている。
 サ プライヤーやインターネット上の観測によると、iPhone6sシリーズの外観は4.7インチのiPhone6、5.5インチのiPhone6プラスと大 きく変わらないが、プロセッサー、メモリなど部品の規格が向上し、狭ベゼル化(狭額縁化)で薄型を追求、腕時計型ウエアラブル(装着型)端末のアップルウ オッチや超薄型軽量ノートパソコンのマックブックと同様、感圧式タッチパネルを搭載するなどスペックが向上する。筐体の色は現行のシルバー、ゴールド、ス ペースグレイに、女性向けにローズゴールドが加わるようだ。
 AWSCなどはPAの強い需要、ラーガンや鴻海、ペガトロンは技術力とコスト力があ るものの、その他の部品は中国メーカーとの競争にさらされている。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は就任以来7回も訪中しており、台湾 のサプライチェーンは、中国部品メーカーからの調達拡大と、中国市場でのシェア拡大が目的だと指摘した。
観測によると、中国のバッテリーメー カー、欣旺達電子(SUNWODA)はiPhone6プラスでサプライチェーン入りを果たし、iPhone6sシリーズではさらに受注が増えるようだ。ア ンテナは従来TEコネクティビティー(TE)、モレックス、アンフェノールが供給してきたが、iPhone6sシリーズでは中国メーカーの深?市信維通信 が加わるとうわさされている。これまで中国部品メーカーの採用が進むにつれ、台湾のコネクタケーブルの万旭電業、連展科技(ACON)がサプライチェーン から外されており、過去1年では中国の歌爾声学(GoerTek)、瑞声科技(AACテクノロジーズ)の音響部品が採用されたことで、台湾の美律実業(メ リー・エレクトロニクス)が受注を失った。
 英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、中国メーカーがハイエンドの部品にまで参入して台湾メーカーの脅威となっており、聯発科技(メディアテック)やクアルコムは、中国の展訊通信(スプレッドトラム)との競争に直面していると指摘した。
  また、中国でスマホ需要が予想より弱まる一方、iPhoneは第1四半期に前年同期比73%多く売れ、初めて米国販売を抜いたとされる。香港の中信里昂証 券(CLSA)は、中国のiPhone出荷量は昨年の3,100万台から2017年には1億台まで増え、北米を48%上回ると予測した。