パナソニックが今年度のテレビの国内生産を昨年度の2倍超まで引き上げることが23日、分かった。東南アジアなど新興国への輸出も検討する。日本の電機各社のテレビ事業は、中国や韓国勢との競争激化で不振が続いてきた。パナソニックは「メード・イン・ジャパン」を前面に打ち出して国内外で巻き返しを図る。
 パナソニックは、国内では宇都宮市の工場でフルハイビジョンの4倍の解像度「4K」に対応した高性能なテレビに限って生産している。昨年5月に商品群を一気に拡張し、4Kテレビの今年1~3月の国内シェアは約30%とソニーを抜いて初めてトップとなったもようだ。
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 4Kテレビの売れ筋は30万円程度。値下がり傾向にあるとはいえ、10万円を切る一般的なテレビよりも収益率が高い。このため今年度は宇都宮工 場の大幅増産に踏み切る方針だ。一方、価格競争の激しい中国と北米での販売は大幅に縮小。海外生産の大半をチェコとマレーシアに集約する。

 テレビ事業はリーマン・ショックやその後の円高により、日本からの輸出では採算が取れない状況が続いてきたが、生産拠点再編による効率化と円安進行で状況は好転。新興国で高価格品の需要は増えていくと予想され、パナソニックは輸出再開の環境が整ってきたとみている。

パ ナソニックのテレビ事業は赤字続きで平成26年度も前年度並みの149億円の赤字だった。一時は撤退も検討の俎上(そじょう)に載ったが、津賀一宏社長は 「ブランド維持のためテレビは続ける」と強調する。テレビは消費者のイメージを大きく左右する商品で、将来はネットを介してさまざまな家電を結び付けて操 作する重要な機器になることも予想されているからだ。

 他の電機大手もテレビ事業の収益安定化が経営の最優先課題になっており、それぞれ事情に応じた戦略を進めている。

  ソニーは昨年7月にテレビ事業を分社化して経費削減を進め、26年度は11年ぶりに黒字に転換した。東芝は自社生産から撤退する方針で、インドネシアとエ ジプトのテレビ工場売却を急ぐ。経営再建中のシャープは7月に独自技術で高精細な「8K」並みの画像を映せるテレビを発売。技術力の高さをアピールして再 建を目指す。

 こうした中、パナソニックの積極策に注目が集まりそうだ。