パナソニックが4月、ホームエンタテインメント事業部からテレビを切り離し、再び単一製品のテレビ事業部を設けた。競争軸が価格中心の米国・中国では、事業を大幅に縮小。付加価値への理解と対価を見込める日本、欧州、アジア、中南米に力を入れ2016年3月期に黒字化を目指す。ブラジルのテレビ事業をいち早く黒字化し、4月からはテレビ事業部を率いる品田正弘部長に、戦略を聞いた。

―パナソニックにおけるテレビ事業の役割は。
 「テレビは重要商材。どの現場でもテレビが販売網を切り開き、そこに多様な商材を乗っけていく。どれだけロスを減らせるかがポイント。生きた市場に対し、機敏に先手を打ち反応することが要求される。どれだけ早く、軽くオペレーションするかだ。」



―ブラジルでの経営手腕を世界へ水平展開することが期待されます。
 「地球の裏側で好きにやらせてもらって、どれだけ効率を上げるかに挑戦した。 極論だが工場は生産品目を1機種に絞り、毎月同じ台数を生産すれば効率は上がる。ブラジルでは機種数を14年度末に12年度末比約半分の13機種まで削 減。消費者からみてラインアップを分かりやすくし、1機種あたり販売台数を同2・5倍に高めて、生産と販売の効率化で黒字化した。」
 「韓国勢との勝負で負けじと機種を増やしてきたが、今後は機種数を欧州で3割、アジアで4割を減らす。機種が少なくても勝てる商品を作る」
―テレビは機能で差別化をしにくい製品です。
  「画質や音質の基本性能で競ってきたが、デザインは手を入れる余地がある。テレビのデジタル化による一番の不満は画面が出るまでの待ち時間であり、困るの はホコリ掃除。画・音質以外の困りごとには応えられていない。来春にも当社が考えるテレビの差別化ポイントの答えを出すが、それは電気技術でない可能性が 大きい」